おしゃべり好き女性の功罪
街頭インタビューで、「楽しみは何ですか?」と高齢女性に聞いて驚いたのは、だれもが口を揃えて、「友だちとおしゃべりをすること」と答えたことだ。一方、高齢男性は無駄話、世間話が不得手で、パソコンや図書館通いで暇を潰す一匹狼が多い。
コミュニケーション能力に長けている女性は、男性のようにキレたり、威張ったりすることはない。だから、社会問題になるほど目にはつかないのだが、女性の中には困ったおしゃべり好きも存在する。
某ホテルには、ちょっと手の焼ける60代後半の常連女性客がいる。
「とにかく、お話し好きのおばあちゃんで、フロントの女性スタッフを相手に1時間くらいしゃべっています。孫の話から始まって、まあ世間話ですね」と、総支配人は語る。
フロントに人が並び始めると、ロビー係が声をかける。
「申し訳ございません。次の方がおりますので、ちょっとズレていただいて、よろしいですか?」
すると次には、このロビー係が話し相手にならざるを得ない。いつも1人でやってきて、何泊も泊まるのだそうだ。
ひとり暮らしが多くなり、同居家族がいても仕事が忙しくて話し相手になってくれなかったりして人と話す機会が減っている人が増えている。デパートや小売店などでも、販売員相手におしゃべりをするのを楽しみに来店する高齢の女性客が増えているらしい。ちょっとした雑談なら、店員にとってもひいきにしてもらうきっかけとして好ましいのだろうが、それが長時間になると仕事に支障が出るため、対応に苦慮しているようだ。
さらには、毒をはらんだおしゃべり好きもいる。
とあるマンションには、駐車場を偵察するのが趣味の70代後半の女性がいる。毎日、100台以上ある専用駐車場を端から端までルームナンバーをチェックしながら見て回り、住人や管理人に逐次報告するらしい。
「〇〇さんのところには見慣れないバンが停まっていた」
「商用車の駐車場契約は違反なのに店の名前が書いてあった。又貸しではないか」
「△△さんのところに新車が停まっていて、昨夜は泊まったようだ。あれは男が来ているんじゃないか」などと尾ひれをつけて言いふらすこともあるらしい。
そのほかにも、歳とともに思い込みや被害妄想が激しくなり、身内のあることないことを言いふらして家族の悩みのタネになるような女性も少なくないようだ。