施設介護でお金を抑えるには?
【コツ6 親の年金で入れるケアハウスを狙う】
介護保険のサービスを利用した在宅介護で親を支え切れなくなったら、介護施設に預けることも検討する。主な介護施設と料金は写真ページにあるグラフのとおり。
「比較的費用が安く、親の年金で賄える料金設定なのはケアハウスと特別養護老人ホーム(特養)です。ただし、特養は要介護3以上が入居の基本条件。軽度のランクだと入るのは難しいでしょう。逆にケアハウスのほうは介護サービスがないため、軽度のランクであれば狙い目ですね。利用料の目安は月額6万円~17万円程度となります」
【コツ7 介護サービスの領収書は必ず保管】
介護保険のサービス費の一部は医療費控除の対象に。医療費控除とは、医療費の合計が年間10万円または所得金額の5%を超えた場合、確定申告をすることで支払った税金の一部が還付されるもの。
「訪問看護、訪問リハビリ、ショートステイなどが医療費控除の対象となり、該当の金額は領収書に明記されています。ほかの医療費と合算して計算してください」
【コツ8 特別養護老人ホームは複数申し込む】
要介護3以上の親は特養が望ましいものの、人気で待機者が多数いるという難点も。
「待機者100名超の施設もあります。ただ地域差があるので、住む市の特養が待機者多数なら隣の市の特養にトライするなど、複数申し込めばチャンスは広がりますよ」
在宅介護より高額となる施設介護費用。子は金銭支援を義務と考えがちだが、柳澤さんはこれに難色を示す。
「介護は本人の問題だからです。資力がなくてもいろいろ手はある。プロに知恵を借りるなどして補いましょう」
(取材・文/百瀬康司)
《PROFILE》
柳澤美由紀さん ◎1996年にFP資格を取得し、独立系FP会社へ転職。2000年独立。家計アイデア工房、FPフローリスト取締役。母親の脳梗塞発症を機に、2012年より「働きながら介護を続けるコツ」セミナーを開催し、好評を博している。著書多数。