月に5万円以上、受給額が減る場合も
写真ページの表を見てほしい。45歳のAさんはコロナ以前の標準報酬月額は45万円。65歳の定年まで働くと、
「厚生年金は年間59万2000円です。国民年金78万1700円を加えると、合計で137万3700円もらえることになります」
では、テレワークで通勤手当と残業手当を合わせて月4万円減ってしまうと、
「前述した計算式に当てはめると、厚生年金は53万9000円。年金の受給額が年間で5万3000円減ってしまうんです」
さらには、
「標準報酬月額が月5万円減ってしまうと、厚生年金は52万6000円となり、年間で6万6000円の減額に」
年6万6000円は少ないように思えるが、85歳まで生きた場合、生涯で132万円と大きな金額差が生まれる。
夫の年金が減るということは妻の生活にも影響するし、さらには夫が亡くなったあとの遺族厚生年金の受給額も下がってしまう。
「10月から出社する日数を制限する企業も出てきており、通勤定期代の廃止は進んでいくでしょう。また勤労者同士で雇用を分け合うワークシェアリングで人件費を削っていくという流れもあります。標準報酬月額が減っていくことはもう避けられない事態と言えるでしょう」
私たちが老後の生活を守る対策はあるのだろうか──。
「在宅勤務によって、光熱費は平均で年5万円ぐらいアップすると言われています。それに倣って光熱費を月割りにして毎月、社員に支払っている企業もあります。テレワークによって働き方が変わったわけですから、会社は就業規則や賃金体系などもそれに合わせて変更し、社員にきちんと説明する義務があるんです。“通勤手当は日割りにする”“光熱費分など在宅勤務費を給与に上乗せする”など、新しい決まりを作っている企業は増えています」