「仕事でパソコンを使っていたら頭痛が起き、特に頭の前のほうに強い痛みが……。駆け込んだ治療院で足のツボを押してもらったときには、思わず叫び声が出るほどの激痛が走って。でも、押し続けられるうちに痛みが少しずつ軽くなり、2~3分もたつと頭痛がおさまったんです」と語るアラ還の女性。
また、「右足のすねにしびれと痛みがあり、歩くのがつらくて。治療院で腰のツボを押してもらったら、最初は耐えきれないほどの痛みでしたが、5分ほどたつと痛みが薄れ、終わるころにはしびれと痛みがラクになりました。それ以来、テニスボールを使って自分でも腰のツボ押しをしています」という50代の男性も。
痛む部分に気を集中し症状を改善
これらは、いずれも田中鍼灸指圧治療院に通うお客さんの声。叫びを伴うほど激痛のツボ押しによって、つらい症状が改善している人がたくさんいるのだ。
「中医学的には、肉体的な不調や内臓の機能低下による不調は、経絡(けいらく。気が流れる道筋)を通じて離れた部分にこりや痛みとして現れると考えられます。その部分に指圧などで刺激を与えると、経絡を通じて不調を改善できるんです」(田中勝さん、以下同)
ツボ押しによって痛みが生じる理由を、田中さんは次のように説明する。
「皮膚の直下には痛覚神経があり、筋肉がこっていなければツボを押しても強い痛みは感じないものです。しかし、不調や病気を反映している部分には筋肉のこりがあるため、指圧すると指と硬い筋肉によって痛覚神経が圧迫されて痛みが出ると考えられます」
ではなぜ、激痛ツボを押すことでつらい症状がラクになるのだろうか。
「例えば動物の場合、強い痛みがあるときには安全な場所でじっとして回復を待ちます。これは、痛む部分に意識を置くことで気を集中させ、気を流すことで痛みを治していると考えられます。激痛ツボを押すと強い痛みを感じてその部分に意識が向き、同じ作用が起きます」
痛みに耐えて激痛ツボを刺激して、健康な身体を手に入れよう! 次のページからは、症状別の詳細なツボ押しガイドをご紹介。