僕は社会的感情に殺されたのかも
原田 三崎さんは、実は繊細な人なのかもしれないですね。億の金が飛び交う世界に生きている経営者のなかには、周囲の声を気にせず邁進する人もいるけど、三崎さんは世間の外圧を感じていたんですね。
三崎 そうかもしれません。でも、そこで引くことができなかったんですよね。行き着くところまで行った結果、逮捕されてしまったのかもしれません。
原田 なるほど。実は僕、その事件についてあまりよく知らなくて……。どうしてそんなことに?
三崎 僕は、2019年に「法人税脱税容疑」で逮捕されました。自分自身は14億4000万を納税していたのですが、知人にお願いした1億8000万円が納税されていなくて、脱税の容疑がかけられてしまったんです。
僕はその人に預けるときに「納税してください」と伝えたのに、納めてくれなかった。僕に知識が足りなかったと言われれば、それまでなんですけどね。
原田 悪意を持った脱税ではなかった、と。
三崎 はい。ただ、どん底まで堕ちたときに「僕は“社会的感情”に逮捕されたんじゃないか」と考えるようになりました。経営者仲間が言っていた「目立つとロクなことにならない」とはこのことかと、言葉の真意を悟りましたね。
原田 社会的感情……。
三崎 当時を振り返ると、いい車を買ったとか、馬を買ったとか自慢ばかりして、社会に貢献している姿を見せていなかったように思います。それは反感を買いますよね。
原田 たしかに、日本には“出る杭は打たれる”という文化があるから、なかなか成功者を受け入れられない人が多いかも。
三崎 そう思います。日本はちょっと息苦しいです。