焼きみかん

主な効能
・身体を温める
・呼吸器の不調を整える

 日本の冬といえば、こたつにみかんが定番。ところが今年は、焼いたみかんが話題だ。生で食べるより効果がある、と噂の“焼きみかん”を推す医師・石原新菜先生にその健康効果を聞いた。

「みかんの皮を乾かしたものを漢方では『陳皮(ちんぴ)』といい、その効能は古くから知られてきました。果物は実よりも皮に栄養があります。みかんの場合、ポリフェノール、ビタミンC、β-クリプトキサンチンなどの抗酸化作用を含む成分が、皮により多く含まれています」(石原先生、以下同)

 例えば、温州みかんに多く含まれるβ-クリプトキサンチンは体内でビタミンAに変わって、体内のIgA抗体を増やす。このIgA抗体は、人の粘膜免疫を高める。粘膜免疫が高まることで、外から侵入してくるウイルスや病原菌と戦う力が増すのだ。

「みかんを冬に食べるのは、風邪やインフルエンザが流行する季節なので、とてもよいこと。漢方薬の陳皮は、その効能に咳、痰切りなど、呼吸器系の不調に効能があるといわれています。さらに、みかんを焼くとそれ以上の効果が期待できますよ

身体を温める効能があり、女性にオススメ

 皮をむいて捨てずに、皮ごと焼いて食べると、その栄養成分を摂取できる。

「特に女性は、男性に比べ筋肉量が少ないので、身体を温める必要性があります。冷え性は、子宮や卵巣などの婦人科系統の不調を引き起こします。焼きみかんの効能のひとつは身体を温めること。焼かないみかんを冷たいまま食べると、成分的にはよくても身体が冷えてしまいます。焼きみかんならその心配がないので女性にはうってつけです」

 また、焼くことで甘くなるので、皮のまま食べやすくなるのも魅力だ。

トースターで丸ごと焼くと皮がぱりぱりして美味しいですよ。焼くことで栄養分が実に移るので、普通のみかんを食べるように皮をむいて食べても大丈夫です。私のオススメは、ヨーグルトやグラノーラと混ぜる食べ方。皮の農薬が心配ならば、水で軽くこするように洗ってから焼きましょう」

 みかんを焼くと、焼き芋に似た匂いが漂い、焼きリンゴのようにとろりと甘みもアップする。

 みかんのイメージが変わる味だが、うん、これは病みつきになりそう!

「陳皮は高価な漢方薬として売られていますが、自宅で焼きみかんを作ればコスパよく、気軽に漢方の生薬を生活に取り入れることができます。風邪やインフルエンザ、コロナが猛威をふるう昨今、ぜひ、この冬の生活習慣にしてほしいですね」

 今年は、「こたつで焼きみかん」スタイルを取り入れてみては?

*作り方*
■レンジ
みかんが破裂しないよう、切れ目を入れるか指で軽く穴をあけて。濡らしたキッチンタオルでみかんを包み、600Wで1分程度加熱。焼き芋のような香りが目安!
■魚焼きグリル
みかんを魚焼きグリルで焦げ目がつくまで焼く(トースターでも可)。好みで、片面焼き・両面焼きに。どちらもM玉サイズで5~6分程度。パンパンに膨れて熱いので注意。
■オーブン
アルミホイルでみかんを包み、230度に熱したオーブンで15分程度焼く。アルミホイルなしで焼くと、皮がぱりぱりした仕上がり、包んで焼くととろりとした味わいが楽しめる。

<私がオススメ!>
イシハラクリニック副院長
石原新菜先生

医師、健康ソムリエ。長崎県出身。スイス、静岡県伊東市で育つ。クリニックでの診察のほかわかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は『病気にならない蒸しショウガ健康法』ほか多数。

《取材・文/ガンガーラ田津美》