中毒性が高く、やめどきがわからなくなる

 スマホを使えば、いつでも手軽に情報が得られ、SNSゲームも楽しめる。今や誰にとってもなくてはならない存在。だが、いくら便利だといっても使いすぎると身体にも悪い影響が出てくるのだ。

 依存症治療に詳しい久里浜医療センターの松崎尊信医師が説明する。

スマホやネットの使いすぎは医学的に“依存症”と認定はされていません。ですが、長時間の使いすぎが問題視されています」

 最近では『スマホ依存』『インターネット依存』という言葉も注目されている。

「依存、といえばアルコールやタバコ、薬物を思い浮かべると思います。ですが、スマホもギャンブルなどと一緒。何らかの物質を摂取しなくてもやめられなくなる傾向があることが研究されています」(前出・松崎医師、以下同)

 “たかがスマホ”と、甘く見てはいけない。中毒性が高く、やめどきがわからなくなることがあるからだ。

 例えば動画配信。ひとつ見終われば、AIが興味のありそうな作品を次々に紹介してくる。シリーズもののドラマや映画で続きが気になれば、延々と見てしまう。

 オンラインゲームもそうだ。時間かまわずプレーでき不特定多数のプレーヤーとも交流でき、クリアした達成感があれば、やりこんでしまう。

睡眠障害、低栄養などは子どもの成長を害する

 熱中して時間を忘れてしまい、自然と寝る時間も遅くなる。すると昼夜逆転し、夜眠れなくなる睡眠障害に陥る。

 ほかにもスマホに夢中になるあまり食事もおろそかになれば低栄養になる。トイレや入浴の時間すら惜しくなることもあるという。

 松崎医師は特に子どもたちの生活の乱れを懸念している。

「子どもにとって睡眠や運動、食事は心と身体の成長のために大切なことです。睡眠中は身体を成長させるホルモンが分泌されるので、睡眠を削ってスマホゲームをすれば、成長を害することになります」

 リアルなコミュニケーションが断たれるおそれもある。ネットを優先するあまり、現実の友達が二の次になれば、人間関係も壊れていく。

 ギャンブルや買い物といった別の依存症の原因になることも考えられるという。

「ギャンブルに興味がある人で、賭け事がスマホで簡単にできることでドツボにハマってしまうおそれもあります」

 買い物もそうだ。

「好みのものをAIが分析しすすめてくるので、必要ないものまで購入してしまうことがあるかもしれない。“こんなに安いものが買えた”って喜んでも、実は巧妙に買わされている可能性がある」