コロナ禍の厳しい状況の中でも「女性だからこそ、できることがある」として高齢女性の活躍の場を広げているのが、全国各地で社団法人として運営されているシルバー人材センター。現在23万人超の女性会員が活躍している。60歳から入れるとあって読者世代も興味津々! ということで、女性会員の活躍促進に特に力を入れている2つのシルバー人材センター(以下SC)でお話を伺った。

「おかげさまで当センターの会員数はこの5年間で200名近く伸びており、その半数は女性です」とは狛江市SC常務理事事務局長の池田あけみさん。

「コロナの影響で減少した仕事もありますが、むしろこういうご時世だからこそ増える仕事もあります。開店前1時間だけの清掃など、人を常時雇うのが厳しい事業主から必要とされるピンポイントの仕事は、シルバーに最適。今後シルバー向けの仕事はさらに増えていくのではないかと期待しています」(池田さん)

 また、女性会員の愛称『シルボンヌ』の名づけ元である埼玉県SC連合の中でも最大の市であるさいたま市SC参事兼浦和事務所長の佐藤まゆみさんも、日々女性のパワーを実感中。

「緊急事態宣言発令前のデータでは、女性会員の7割はセンター提供により就業しています。また、シルバー人材センターは働いてお金を稼ぐことだけが目的ではないんです。仕事やボランティア活動を通じて社会に貢献したり、“女子会”と称して開催しているお茶会やヨガなど女性会員に特化したイベントの参加で居場所や仲間をつくれると、好評です」(佐藤さん)

男性中心だったSCに変化の兆し

 そもそもシルバー人材センターとは、高齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献するための組織。定年退職後もシルバー人材センターに入会して元気に働き続ける高齢者は多いものの、会員の男女比はこれまで圧倒的に男性が多かった。

「世代的に仕事は男性がするもの、という考えが地方では特に根強く、当センターでも女性会員の比率は30%以下でした。ところが、近年は保育など女性向けの仕事を増やしたことで40%近くまで増えてきています」(池田さん)

 入会前の方からは、資格や経験がないことを気にする声も多いというが、そんな心配も不要。

「私は何もできないから……と言う方がいらっしゃいますが女性は特に、仕事のノウハウをすでに持っているんです。家事や子育ての経験がそのまま仕事に生かせるのが女性の強みです」(池田さん)

 現状、会員から人気の職種は清掃、福祉・家事援助、事務、施設管理など。今後は共働き世帯が増えるなどして、女性が活躍できる、家事援助や保育補助の仕事が増加していくことが予想される。

「保育園や学童保育での育児支援、また、介護施設や高齢者宅での家事援助や、話し相手などの需要はさらに高まると思います。どれも女性ならではの気配りやコミュニケーション力があってこそできる仕事です」(佐藤さん)