こまめな対策で一網打尽に
有吉さんと同じ研究部に所属する、浅井一秀さんがこう教えてくれた。
「本格的な夏に向けて繁殖しますから、今、徹底的に駆除するのは正解。いくつもの注目製品が出ています」
キッチンの隅などで、触角だけを動かしながら気配を消している黒い塊には定番のエアゾールスプレー。速効性や致死性の高さなどの違いでさまざまな商品がある。秒速ノックダウンだから、スプレーを浴びたヤツらが苦しむあまり、走り回ったり、こちらへ飛んできて大騒ぎになることはない。キッチン周りや、子どもやペットがいるならば、殺虫剤を使わない冷却スプレーで凍らせてから処理するという方法も。
また、薬剤の残留効果を使って、外から入ってくるゴキブリを防ぐという使い方も効果的だ。玄関やベランダなど人の出入りがある付近や窓際、エアコンの室外機など通り道になりそうな場所に吹きかけたり、より長く効果が続く食毒剤タイプを置けばいい。
実はこの食毒剤(毒餌剤)は、室内のゴキブリを一掃するためにこその強い味方。ヤツらが出没しやすいキッチン周りや洗面台の下、隙間などに置いておけば、知らない間に餌を食べにやってきて有効成分を抱えたまま巣へ戻り、そこで死ぬ。そのフンや吐き戻しなどを食べた仲間のゴキブリも残った有効成分で駆除され一網打尽ということになる。
効果がいちばん実感できるのは、やはり「ごきぶりホイホイ」などのトラップ式捕獲用品。死骸を見るのがイヤならそのままゴミ箱へ直行させればいいし、強力な誘引剤はヤツらの大好物という。一度捕らえたら15キロの重りを持ち上げられる強力な粘着力で、決して逃さない頼もしい定番アイテムだ。
また、多少手間はかかるが、ダニやノミなどまで屋内害虫すべてに引導を渡したいのであれば、やはり“くん煙剤・くん蒸剤”タイプが強力。モクモクと立ちのぼる煙が家中に広がるという見た目も強烈だが、それだけの効果は十分にある。
煙や霧を直接吸い込んでしまうことがないよう、人だけでなくペットも屋外避難するほうが安心だ。水槽の観賞魚や昆虫なども家の外に出しておいたほうがいい。電化製品や火災報知器に影響することもあるので直接噴煙が当たらないようにしたり、カバーや新聞紙をかけることも必要になる。煙が隅々にまで行き渡るよう引き出しや戸棚を開け放ったほうがよいので、布団や食器などにも同様の手当てを考えたいものである。
「とはいえ卵までは殺せませんし、確実に駆除したとしてもまた屋外から入ってこられてはせっかくの苦労も水の泡です」と浅井さん。
「絶対に見たくないなら、いくつかのものを組み合わせて定期的に使えば、ほぼ完全駆逐も夢ではありません」
でも、その前にヤツらの来ない家、すみにくい家に近づけることも大切だと有吉さんは補足する。
「湿気も大好きですから、例えば就寝前にシンクの水滴をこまめに拭き取るだけでもはっきり違ってくるはず」
小まめな片づけ習慣や掃除、強力な虫ケアツールを味方にして、対策をしっかりと。
ただでさえコロナ禍で大変なわれわれに、ゴキブリに割く気持ちの余裕はまったくないはずだ。