2週間たっても口内炎が治らない→「口腔がん」
寝不足だったり、舌を噛んだり、熱いものを食べてヤケドをしたり……。口内炎の原因はさまざまだけど、見た目がそっくりでまぎらわしい、実は怖い病気があるんです!
「いつまでたっても口内炎が治らず、見た目にもくぼんだ部分が残っている場合は要注意。口の中の粘膜にできるがん、『口腔がん』を疑ったほうがいいでしょう。それがもし舌にできていたら、『舌がん』のおそれがあります」
とは前出・秋津先生。目安として、2週間たっても治らなければ、がんの可能性を考えたほうがいいという。
「普通の口内炎なら、健康な人であれば1日~2日で治ります。口内炎ができやすい人でも1週間ぐらいで治っていくのが自然です」
悩ましいのは、口内炎なのか口腔がんなのか、医師の目で見ても判別が難しいこと。
「口腔外科の専門医でなけ れば、見た目から判断するのは難しいでしょうね。治らない口内炎はリスクありと頭に入れておきましょう」
妊婦でもないのに乳汁が出る→「脳腫瘍」
妊娠しているわけでもないのに乳首から乳汁が! 私の身体に何が起きているの!?
「乳汁は本来、妊娠・分娩で乳房が張り、プロラクチンという乳汁分泌ホルモンが出されることで作られます。プロラクチンは脳内の下垂体という部分から分泌されていますが、ここに腫瘍ができると、妊娠とは無関係に乳汁を作り始めることがあるんです」
と植田先生。下垂体腺腫と呼ばれる脳腫瘍の一種で、ほとんどが良性腫瘍だとか。
「女性だけでなく、男性でもかかります。いきなり胸が大きくなり、乳汁が出るようになって検査したら、下垂体腺腫だったというわけです」
治療は婦人科ではなく脳外科で行う。腫瘍が大きくなれば鼻からメスを入れる手術で除去しなければならないが、時間をかけて大きくなることも多いため、薬で症状を抑えつつ経過を見る方法もある。
「もし乳汁に血や膿が混じっている場合は要注意。乳がんのおそれがあります」
いくら寝ても眠い、寝不足じゃないのに目の下にクマ→「甲状腺疾患」
寝ても寝ても眠い。疲れが抜けない。無気力。一見、うつ病みたいな症状だけど? 秋津先生が解説してくれた。
「うつと似ていますが、原因は異なります。“アクセルのホルモン”と呼ばれ、やる気につながる甲状腺ホルモンが不足すると、充電切れのような状態になります。こうして発症するのが『橋本病』。異物をやっつけるべき免疫が自分の甲状腺を攻撃するなど暴走して、調整機能に異常をきたし、甲状腺ホルモンが足りなくなってしまうのです」
また、甲状腺ホルモンは多すぎても病気リスクになる。
「橋本病とは逆で、甲状腺ホルモンが過剰分泌され発症するのが『バセドー病』。やたら元気になったり、汗っかきになったりします。原因はわかっていませんが、眼球が前方へ押し出される“眼球突出”を起こして、目が大きくなることも。そのため目の下のクマが強調され、寝不足でもないのに常時クマができているように見える人もいます」
どちらの病気も30代~40代の女性に多いのが特徴だ。
「遺伝的要因も一部にあるので、母親が甲状腺疾患だったという人は注意しましょう」