「定年前後の世代は、住宅ローンや教育費の支払いが終わるころ。株の投資を始める際、大きな儲けを求めなくてよいので、自分の好みで投資先を選びやすく、株主優待をより楽しめる世代だと思います」
支出を抑えたい年金暮らしの潤いに
そう話すのは、ベテラン優待主婦のまる子さん。特に定年後は“生活に潤いを与えるもの”を株主優待に選ぶと楽しみが広がるとおすすめする。
「新商品の調味料の優待で新しい料理に挑戦したり、外食の割引券で友人や家族とちょっとリッチな食事を楽しんだり。優待が楽しい時間を演出し、年金生活の刺激になると思います」(まる子さん)
さらに、日ごろから利用している店の割引券や日用品の優待なら、年金家計の支えになってくれる。
なるべく損は回避! 賢い銘柄選び
とはいえ、株主優待はあくまで投資。なるべく損をせず優待を楽しみたい。ファイナンシャルプランナーの大山弘子さんは、“下落リスクが少ない株”を選ぶことが大切だと指摘する。
最低限チェックすべきは3つ。「PER(株価収益率)」、「売上高と営業利益、純利益」、「配当金」。Yahoo! ファイナンスなど無料で確認できるサイトがあるので、株を買う前に見ておきたい。
「PERは、企業の利益に対して株価が割高か割安かを表す指標。数値が高すぎると業績に対して株価が“割高”だと判断されるため、優待目当てでない投資家に売られて、株価が下落する可能性があります。株主優待がある株(優待銘柄)は、株価が下がりにくい傾向があるといわれていますが、安定した老後を過ごすためにも、現役世代よりシビアに選ぶ必要があります」(大山さん)
営業利益と純利益は、黒字のものを選ぶことが鉄則。さらに、売上高、営業利益、純利益がいずれも右肩上がりのものが望ましい。コロナ収束後の株価上昇を狙って赤字企業に手を出すのは控え、堅調な企業を選ぶのが無難だ。また、配当金の有無も業績のよしあしの目安になるので、“配当利回り3%”を基準に選びたい。