最新の男の子人形『けんちゃん』には体操を促したり、脳を活性化するプログラムも搭載されているという。
盛田会長も自宅で前出のみーちゃんやけんちゃんらと暮らしているというが、時々「奇跡」が起きるという。
「“今日の夜はカレーにしよう”なんて妻と話しているときに“カレー大好き”って絶妙のタイミングで会話に入ってくることがあります」
それはまるで本当の家族の会話のよう。特に人気なのが帰宅したときにかけてくれる『おかえり待っていたよ』とか『遅かったじゃん』などと言ってくれる言葉だという。
「ひとり暮らしの高齢者にとって誰かが待っていてくれるという安心感があるんです」
このコロナ禍で人と会えず孤独を感じていた高齢者の中には、人形から子どもの声が聞こえることで元気になった、という声もあった。
「認知症で日々が不安でも人形のおかげで明るさを取り戻したという人もいました」
また、ユーザーの中には自作の洋服を作り、着せ替えを楽しむ人もいるという。
「手作りなので一体一体顔つきも異なっています。長年愛用している人の中には汚れて買い替えをすすめても絶対に手放さないと訴える人もいます。一緒のお棺に入れてほしいという高齢者の声も聞きます」
人形には魂が宿るという話がある。孤独な高齢者の心を癒すため、命が生まれているのかもしれない。
着る歩行支援ロボット「curara(R)」
「杖なしでもう一度自分の足で歩きたい。それが目標」
そう話すのは群馬県のエムダブルエス日高が運営するデイサービス『太田デイトレセンター』でリハビリを行う酒井恵美子さん(52)。
同センターのデイサービスでリハビリに取り入れ、酒井さんの歩行を支えるのが歩行アシストロボット「curara(R)」。
酒井さんは44歳のときに脳梗塞で倒れ、右半身にまひが残る。杖なしでは歩行は困難。
「以前は天気の悪い日は足が重く感じていましたが、今はそうでもない。curara(R)の効果でしょうか」と喜ぶ。
curara(R)は立つことはできるが加齢や病気で歩行が困難になった人のサポートをする、衣服感覚で身につけられるロボットだ。現在は年内の製品化へ向けてモニター貸し出しを続けている。
説明するのはcurara(R)の開発を行う、信州大学発のベンチャー企業、アシストモーション代表の橋本稔さん。
「脳梗塞などで半身まひや脳性まひ、歩行に障がいがある方もcurara(R)をつけて歩行するリハビリを重ねることでスムーズに歩けるようになることを目指します」