まわりへの配慮が大切
「マスクをしていてもつらいので、人が集まるところでは、強い香りのする柔軟剤を使わないなど、みなさんにちょっとした配慮を心がけてもらうととてもありがたいです」
と話すのは、冒頭で紹介した藤森さん。藤森さんのような香りによる健康被害者の声を受け、新しい動きもある。
今年の7月に「カナリア・ネットワーク全国」という被害者の全国規模の組織ができ、また8月には、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の5省庁連合で、「その香り 困っている人がいるかも?」というコピーが大きく書かれた啓発ポスターが制作されたのだ。
「今まで香りの被害に関しては、好みの問題で片づけられてしまうことが多かったので、このポスターは大きな進歩といえます。
香りで困っている人がいることをまずは知ってもらいたいです」(水野さん)
何げなく柔軟剤を使っている私たちが思う以上に、柔軟剤の香りに困っている人がいるのだ。
香りが原因で起こる下のような体調不良の中に思い当たるものがあれば、柔軟剤をやめたり、香りが弱いものに変えてみると、症状が軽減する場合も。また、満員電車など多くの人が集まるところに行くときは、香りが弱い柔軟剤にすると、香りに困っている人を減らすことにつながる。
香りが控えめな柔軟剤を探すときは、「微香」、「無香」などの言葉が使われているものを選ぶのがポイント。また、メーカーのホームページに香りの強さの目安が掲載されていることも多いので、一度確認してみよう。使う際には、パッケージに記載されている量を守ることも忘れないようにしたい。
◆香りが原因でさまざまな健康被害が!
・のどの痛み、味がわからない
・目の痛み、充血
・皮膚のかゆみ、湿疹
・頭痛、集中力の低下
・吐き気、気持ちが悪い
・めまい、耳鳴り
NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議理事。7市民団体からなる「香害をなくす連絡会」で活動中のサイエンスライター。著書に『「甘い香り」に潜むリスク 香害は公害』など。
〈取材・文/濱田麻美〉