生きていくために炭水化物は必要!
管理栄養士で、食事による栄養指導や体調改善メニューの作成などを手がける金丸絵里加さんによると、小西さんの体調不良の原因は、まさに「炭水化物の抜きすぎ」にあったという。
「日本人の1日の平均摂取カロリーは、約2000キロカロリーだといわれています。そして、その内訳はおおよそ、タンパク質が15%、脂質が25%、そして炭水化物が60%という割合。
ですから、私たちは主に炭水化物によって、生きていくために必要なカロリーを摂取していると言えるわけです」(金丸さん、以下同)
炭水化物を一切とらないと、摂取カロリーの半分以上を失うという“緊急事態”に陥ってしまうのだ。
身体はカロリーが足りなくなると、それを補うために自分の筋肉を削ってエネルギーを作り出そうとし、それでも足りなければ骨を分解して補おうとする。
すると、筋肉量や骨量はどんどん減っていってしまう。前述の小西さんの筋肉量の激減、そして体調不良は、このカロリー不足が原因だったと考えられるのだ。
「炭水化物の食べすぎは肥満につながるのでたしかに要注意ですが、炭水化物を一切食べないという極端なダイエットも、栄養が大きく偏るので注意が必要なのです」
●炭水化物を抜くとカロリーが足りなくなる!
〜日本人の平均摂取カロリーの内訳〜
・タンパク質 15%
・脂質 25%
・炭水化物 60%
糖質は、実にその半分以上を占めている。炭水化物をとらずにゼロにすると、必要な摂取カロリーが足りなくなってしまう。
さらに別の視点から、炭水化物抜きダイエットに警鐘を鳴らすのは、農学博士で腸内細菌の研究者である南田公子さんだ。
「炭水化物と腸内細菌に一体どんな関係があるの、と意外に思われるかもしれませんが、実は、腸内環境を守っている善玉菌は炭水化物が大好きなんです」(南田さん、以下同)
腸活で大事な食べ物というと、雑誌やテレビでよく目にするのは食物繊維だ。炭水化物は一見、縁がなさそうに思えるが、詳しく話を聞いてみると……。
「食物繊維には2種類あって、そのうち、ゴボウやレンコンなどの硬い根菜類に多く含まれる不溶性食物繊維は、善玉菌にとっては、あまりうれしいエサではないんです」
お通じをよくして便秘改善に効果があるといわれる食物繊維だが、不溶性のものは硬く、善玉菌はあまり食べない。便秘の人が食べすぎると、便はますます硬くなり、詰まってよけいに出にくくなるおそれもある。
「一方、リンゴなどに多く含まれる水溶性食物繊維は確かに善玉菌が好んで食べます。でも、食材に含まれている水溶性食物繊維の量はとても少ないため、善玉菌が満足するほどの量を私たちが食べるのは難しいのです」