77歳のとき、胸腹部大動脈瘤を患い、大手術を経験した樋口さん。手術は無事に成功したものの、その3年後くらいから、身体のあちこちに違和感が生じるように。

朝の寝覚めも悪いし、起き上がるとあちこちきしむ。視力も聴力も低下して、何をするにもヨタヨタヘロヘロになってきたんです

 自嘲ぎみに名づけたのが“ヨタヘロ期”。

誰もが“ピンピンコロリ”を望みますが、長生きをすれば、それはめったにありません。大抵、ピンピンスタスタからヨタヨタヘロヘロ、そしてドタリ。このヨタヨタヘロヘロの時期を、私は“ヨタへロ期”と呼んでいるんです

高齢期を前向きに捉えて、明るく過ごす! ※写真はイメージです
高齢期を前向きに捉えて、明るく過ごす! ※写真はイメージです
【写真】老いた後も生き抜く方法を教えてくれた、評論家・樋口恵子さん(89歳)

 平均寿命と健康寿命の差は男性が約9年、女性が約12年もあり、女性のほうが男性よりヨタヘロ期が3年も長い。

老後を考えるうえで、このヨタヘロ期があることを忘れてはだめ。寝たきりになれば、ちり紙ひとつ落としても拾えなくなる。住まいは2階よりも1階にしておくなど、事前の準備をおすすめします」

 健康寿命が尽きてからのヨタヘロ期をどう生きるか。

「倒れたら子どもがなんとかするだろう」なんて、丸投げはできれば避けたいもの。今から何をすべきか、どう心づもりをしておくべきか…『転ばぬ先の杖(知恵)』として樋口さんの体験を参考に、自分なりのよりよい人生100年時代を設計していきたい。

“樋口流”老いを生き抜くヒント

 実際に年を重ねての困りごと・トラブルからトホホにならない解決法を伝授。樋口さんならではの知恵とユーモアで“老いの不安”を乗り越えよう!

【1】「孤食」にならないように「トモ食い」仲間を確保しよう

 65歳以上の高齢者のうち6人に1人は単身者と言われている現在、高齢者の「孤食」が問題になっている。

「誰とも話さずに食事をするのはやっぱり寂しいし、うつうつとしてくるもの。そのうち食欲もなくなり、低栄養や食べる筋力の低下、うつ病などを引き起こしてしまいます」。

 コロナ禍のため今は容易にできないものの、樋口さんがおすすめするのは『トモ食い』。「お弁当を買って自宅で一緒に食べたり、外食できる友達をみつけておいて。定期的に会う友達がいれば、『やせたんじゃない?』なんてお互いに健康チェックもし合えますよ」