市販薬から日用雑貨まで暮らしに必要なものが買えて便利なドラッグストア。最近では、牛乳、卵、野菜、冷凍食品も取りそろえ、スーパーの役割も担いますますパワーアップ。薬やコスメを買いに来たついでに食材も買えて時短になる、処方箋の薬を待つ間に買い物ができると主婦層を中心に注目を集めているが、消費者目線で見たときの最強は?調剤、一般用医薬品、食品、ポイントの充実度などで比べてみた。
成長を続けるドラッグストア業界
長引くコロナ不況のなかでも右肩上がりの成長を続けている業種がある。ドラッグストア業界だ。2020年の業界全体の売上高は8兆363億円に上り、10兆円産業となる日も間近に迫っている。
「この2年ほどはコロナ特需によってマスクや除菌関連商品などの衛生用品の分野が大きく伸びました。さらに、医薬品と化粧品の2大看板に加えて食品分野を強化してきたことも、この業界が成長を続ける要因のひとつです」
そう話すのは、流通ジャーナリストの石橋忠子さん。近年のドラッグストアは豆腐や牛乳などの日配品や生鮮食品にも力を入れているという。医薬品から食品まで、一度の来店でまとめて購入したいという消費者の“ワンストップニーズ”に応えるためだ。
「もはやドラッグストアの競合相手は中小の薬局・薬店ではなく、コンビニやスーパー。出店ペースもますます加速し、大手ドラッグストアチェーンは軒並み年100店舗以上の拡大を続けています。業界内での競争も激しく、各社が独自のサービスを模索しながら、生き残りを図っています」(石橋さん、以下同)
利便性も高まり、これまで以上に身近な存在となりつつあるドラッグストアだが、なかでもいちばん使い勝手がいいのはどこのチェーンなのだろうか。さっそく、業界の大手チェーン上位6社を部門ごとに比較調査してみた。
まずチェックしたのは店舗数と売り上げ規模。実はドラッグストアチェーンは吸収合併が盛んで、昨年10月にも大きな変化が起こったばかりだ。
「マツモトキヨシとココカラファインが経営統合し、業界の勢力図が激変しました。売り上げ規模でいうと、第1位のウエルシアに次いで第2位となる巨大グループが誕生したことに。都市部や繁華街に多く出店していたマツキヨはコロナ禍のインバウンド消失で大打撃を受けていますが、統合によってトップ奪還も狙える位置にきました」
今回の統合により、系列店舗を含めた【店舗数】ではマツキヨとココカラの3225店舗が第1位のS評価。単純な数の勝負ではあるが、店舗数が多いということは消費者がより気軽に訪れることができるという証でもある。【売り上げ規模】はウエルシア、マツキヨココカラ、ツルハが大きい。
「上位3社はいずれも1兆円前後の売り上げ規模で、それ以外の企業との差を大きく広げています。この3強が業界を牽引するかたちはこの先も続いていくと思いますよ」