「イラストは、彼女と表していることから、彼氏と彼女というカップルの描写でした。すなわちこれはデートの風景と言えます。もう1つの理由として、“デートを安いサイゼで済ませるなんて”という視点から、女性を安く見ていると考える人がいたこと。毎年のようにクリスマスシーズンになると、特定のブランドを指して“プレゼントに○○なんてありえない”ということが話題になりますが、それと根本的には同じですね。比較的安価なモノをプレゼントされることは低く見られている、と感じる感情です」

 以下はこの観点でつぶやかれた意見。

《デートだよっつって彼氏にサイゼ連れてかれたら確実に殴ってるわ》
《目の前にサイゼでニコニコしてくれるかわいい巨乳の若い彼女がいて彼氏は釣り合うほどの何を持ってる人なんだろうネ》
《「サイゼで喜ぶ彼女」側ではなく「サイゼとか安い店でも文句言わない従順な彼女がいいなグヘヘ」って言ってる君たちみたいな男側なことにいい加減気づいてほしい》
《サイゼで喜ぶ彼女=素晴らしい 高級なとこが好きな女=悪魔化 そんな粗雑な思考する男ってうだつが上がらんだろうな》

 このような意見は全体から見て、あくまで少数意見だ。しかし、少数の“否”の意見が、その熱量から時に大きく見えることは、ある種の“ネットあるある”と言える。

好意的に受け止める女性が多い

 今回生まれた反応に対し、イラストレーターは次のようにつぶやいている。

《初手サイゼが許されるかどうかは2人の年齢とか距離感とか空気によって左右されますよって全員にリプしたい》
《フェミフェミ蔑むのも真剣にフェミニズム活動してる方に申し訳ないし、オッサン世代はこういう人達の事を「荒らし」って呼ぶんじゃ》

SNS上では、“女性であること”“女性としての価値”を、何らかの値段に置き換えられるような行為や描写に対し、非常にセンシティブに反応する人は一定数おり、かつ年々増えているように見えます。もちろん同性だろうが異性だろうが、他人を換算することは褒められた態度ではありません。それによって“この程度の人なら……”というように安く見て、直接的にせよ間接的にせよ虐げるようなことはあってはならないこと。今回向けられた否定的な声はこのような考えに向けられたものであり、イラストに対しての感想・意見である以上、それはそれで尊重されるべきものかと思います。

 しかし、イラストレーターさん自身が言うように、“彼女とサイゼに行く”ことは関係性にもよるでしょうし、さらに店に行く頻度も関わってくるでしょう。現にツイッターでは、彼女とサイゼに行くことに好意的な女性のほうが多く見られました。男性向けのイラストは確かに胸が大きかったり、露出度が高い服装であったりすることが多いです。それに対する意見もさまざまありますが、こういったイラストを好む人を“オタク”とひとくくりにして罵詈雑言のような言葉を飛ばすということ、それは少々前時代的な考えなのではないかと。ひと昔前より広く浸透している文化であると思いますし、趣味嗜好は誰かに直接的な迷惑をかけていない限り、基本的には尊重されるべきものではないでしょうか」(ITジャーナリスト)