食間が空く場合は軽食や補食をとる

 低血糖を防ぎ血糖をコントロールするための方法とは?

「食事の間隔が空いて空腹になっているときに物を食べると血糖値が急上昇します。血糖値の変動が大きくなると低血糖になりやすいので、1日3食規則正しく食べることが大切。どうしても難しい日は、食事と食事の間に軽い間食をとることで低血糖の予防が期待できます。間食をしたらそのぶん、次の食事で炭水化物を減らして糖質のとりすぎにも気をつけましょう」

 糖尿病薬で治療中の人には、次のような方法が有効だ。

「炭水化物の摂取量が少ないと低血糖が起こりやすいので、食欲がないときでも炭水化物は適切にとるようにしてください。普段よりも活動量が増える日は血糖値が下がりやすいので、私の患者さんには3時のおやつとしてビスケットなどの軽い補食をとることをすすめています」

 自分が低血糖かどうかを知るためには、まずは体調の変化を見逃さないことが肝心。

「低血糖の初期段階では、フラフラする、頭がボーッとするといった自覚症状を感じているはずです。そうした体調の変化に気づいたら、できるだけ早く医師に相談するようにしてください」

キケンな低血糖を防ぐには

飲んでいる糖尿病の治療薬を把握して医師に相談

 スルホニル尿素薬とインスリン注射薬は重度の低血糖を起こしやすい薬剤。いずれかの薬剤を使っている場合、自分の体調とともに医師に相談を。

体調がおかしいときにはジュースやコーラを飲む

 低血糖の症状に即効性があるのは糖類が含まれた飲み物を飲むこと。ジュースやコーラをコップ1杯程度飲み、体調が落ち着いたら固形物でも糖分の補給を。

普段よりも身体を動かす日はおやつを用意

「今日は孫の面倒を見る」「天気がいいので大掃除をする」など、普段よりも動き回る日は自分の体調や状況に応じて3時のおやつをとりましょう。

低血糖を認知症と誤認したケースも!

 高齢になると大なり小なり認知機能が衰えるのは事実。だが、岡田先生のもとに来院した患者さんには、次のようなケースも。

「別の病院で糖尿病の治療を受けていた高齢の患者さんが、ご家族に連れられて診察にみえました。ご家族は『認知症になって、話しかけてもほとんど返答もしなくなった』とおっしゃっていたのですが、血糖を測ったところ30mg/dlで低血糖であることが判明。ボーッとしていたのは低血糖を頻繁に起こしていたからなんです。低血糖を改善する治療に切り替えたところ、以前のようにおしゃべりができるようになり、ご家族はびっくりされていました」

 糖尿病の治療をしていると、こういうことも起こりうることを知っておきたい。

お話を伺ったのは……岡田洋右先生
●産業医科大学医学部第1内科学講座准教授、臨床研究推進センター長。医学博士。産業医科大学医学部、産業医科大学医学研究科障害機構系、コネチカット大学研究生などを経て現職。

<取材・文/熊谷あづさ>