当たり・ハズレが激しいアイリスオーヤマ

 2万円以下で高性能な炊飯器を販売するなど、独自路線のお買い得家電で人気を得ているアイリスオーヤマも“当たり・ハズレ”があるメーカー。“安いだけ”の商品をつかまない目利きが重要だとAさんは見ている。

「あまりおすすめできないのは除湿機。除湿機の上部に取り付けられたサーキュレーター(扇風機)が“よくも悪くも”な付属物です」

 除湿機にはコンプレッサー式とデシカント式があり、デシカント式はヒーターの熱を利用して除湿をするため、使用すると温風が排出され、室内温度を上昇させる特徴があるのだ。

 アイリスオーヤマの場合、デシカント式の除湿機の上部にサーキュレーターを取り付けているので、部屋中に暖かい空気が巡ると指摘。

「冬に洗濯物を乾かす目的があればいいですが、これからの季節はよく考えて使ったほうがいいと思います」

 東芝や日立などに比べて半額程度の価格で販売されているLED照明は、光が部屋全体に広がるように設計されていないため、光源の真下以外は暗く感じがち。“安くてお得”とは言い切れないようだ。

「リビングではなく、寝室用に購入するならよいかもしれません。特徴と値段を天秤にかけて、適材適所で購入するのがよいと思います」

 上手な家電の選び方として、話題や人気といった情報に惑わされずに、自宅の様子や自分の生活に合ったものを選ぶべきとAさん。

「売り場で見て、触って確かめるか、最近はレンタルできるサイトも多いので、試してみることも失敗しないポイントです」

お店では教えてくれない!家電選びでソンしないコツ

最上位モデルが高性能と思い込まない

「メーカーにもよりますが、最上位モデルとその下では“デザインが部分的に違うだけ”程度のことが少なくありません。炊飯器や冷蔵庫など、それだけで数万円の差がつくことも。高級=性能がよいものとは限らないと心得たほうがいいでしょう」

最新モデルは発売半年過ぎてから検討を

「例えば、年に1回新製品が出る冷蔵庫は、春ごろに発売されてそこから1年かけて半額程度になることが多いです。発売されたばかりの時期は、新製品だからといってスペックに見合わない強気の価格設定をしている商品も。発売すぐの購入は避けるのが無難です」

使用家電を聞いて販売員の本音を探る

 1つの商品だけを強くプッシュする販売員を信じるのは要注意。「店側で“今月はこの商品を売る”などの目標が決められているかも。そういうときは“店員さんは何を使っているんですか?”と唐突に聞いてみてください。本音がポロッと出てくる可能性があります」

教えてくれた人は……現役家電販売員Aさん
●販売員歴15年。大手家電量販店の家電売り場全般を担当し、特に理美容ジャンルに精通。新製品はできるだけ試して使用感を確認。製品の長所・短所を分析する。

<取材・文/河端直子>