全員、保険料は月に1万円前後と割安

 お金のプロ4人に共通しているのは、全員が何かしらの保険に加入しているということ。日本の社会保障は充実しているが、病気やケガ、死亡時の出費がゼロになるわけではない。それぞれ、必要になる金額を見極め、保険で補っているのだ。

 どんな保険がいいのか、プロの基本的な考え方について、元保険会社勤務の金融ライター品木さんは「まず、いざというときに自分の家が遺族年金や公的な医療保障によってどのくらいカバーできるのかを把握することが大事。それでも不安な分を保険や貯蓄で備えるのです」と説明する。

 病気やケガで仕事を休んだら、厚生年金加入者なら給料の約3分の2の傷病手当金がもらえるが、国民年金加入者は何もない。死亡したときの遺族年金も、国民年金だと子どもがいないともらえない。つまり、厚生年金に加入していない自営業者やフリーランスの人はその分の保障が必要ということになる。

「家族構成も考慮する必要があります。子どもが独立すれば、多額の死亡保険金は不要になります。そういう意味では、50代は保険料を減らすチャンスといえます」と税理士の服部さん。

 もう1つ、目をひくのが、4人とも保険料負担が軽いことだ。それぞれ月額1万円前後におさまっている。節約アドバイザーの丸山晴美さんはこうアドバイスする。

「貯蓄タイプの保険に入っている人も多いと思いますが、保険料が割高。今は掛け捨てタイプで保険料を安く抑えるのが主流です。満期を迎えるとお金がもらえる養老保険などの貯蓄タイプには、手を出さないほうが無難だと思います」

女性は長生きリスクを重視する

 お金のプロ4人の保険の内容を見ると、死亡保障の選び方に家族の状況や考え方の違いが表れている。

 税理士の服部さんは、保険料掛け捨てタイプの定期保険をチョイス。定期保険とは一定期間のみ死亡保障が得られるタイプで、生涯にわたって死亡保障が得られる終身保険と比べて、安い保険料で多額の死亡保障を用意できる。

 品木さんは小さい子どもがおり、自営業者なのでガッチリ死亡保障が欲しい。ただ一方で、保険料は抑えたい。そこで選んだのが収入保障保険だ。これは、稼ぎ手が亡くなったあと、遺族が毎月一定額を受け取るというもの。

 通常の死亡保障は保険期間内にいつ死亡しても一定額がもらえるが、収入保障保険は、保険期間満了近くで死亡すると遺族が受け取る総額が少なくなる。そのため保険料が割安なのだ。同じ保険期間の定期保険と比べて保険料が約6割で済むものもある。

 老後の死亡保障については、かつては葬儀代として300万円といわれていたが、これについて丸山さんは「今は少人数のシンプルな葬儀が主流になっています。こぢんまりした葬儀でかまわず、その分の預貯金があるなら老後の死亡保障は不要でしょう。思い切って解約して、月々の保険料を老後資金にまわすのも手です」と言う。

 なお、黒田さんと丸山さんの女性陣2人は現役時代の死亡保障よりも、医療費やがんへの備えを重視している。女性は寿命が長いため、老後に医療費負担がのしかかる「長生きリスク」に重点的に備えたいと考えてのこと。