語り尽くせないお菓子の世界
クッキー&ビスケットもお菓子の大ヒットジャンル。そのなかでも印象深いのが、『きどりっこ』だという。
「動物型の茶色いクッキーの上に、着色したクッキーで耳や鼻、模様などを表現した立体的なクッキーです。
どこか温かみのある造形で、アイシングクッキーとは違って、クッキーを重ねて動物を描くというところにブルボンの技術力の高さを感じます。
昔は立方体の箱のパッケージに入っていて、上部にある取っ手を自分で組み立てて持ち運びするのも楽しかったです」

最後は定番のスナック菓子。1979年の発売当時、ポテチ業界に新風を吹き込んだのが『5/8チップ』だ。
「商品名の5/8には諸説あって、より食べやすい工夫としてアメリカの成型ポテトチップスのサイズを5/8にしたからという由来や、発売元のエスビー食品の文字『S/B』と『5/8』が似ているからという話まで、いろいろと臆測が飛び、盛り上がりました。調味料などで有名なエスビー食品さんがお菓子を出していたことも、今の人には新鮮に映りますよね」
お米を使った『コメッコ』も、スナック菓子を語るうえでは外せないという。
「ホタテとしょうゆの風味というのが新鮮で、日本人が大好きな味わい。小さなおにぎり形のスナックで、食べやすいというのも人気の秘訣だったように思います。古くからあるおせんべいやあられ、おかきとも違う、ライススナックという新しい地平を切り開いたグリコの研鑽の賜物のような商品ですね」

まだまだ語り尽くせぬ、懐かしお菓子の世界。小さな手に小銭を握りしめ、「どれにしようかな」と棚に並ぶ商品を眺めた記憶は、きっとどの世代にも普遍的にあるだろう。
「実際に食べて楽しむだけでなく、いろんな思い出を語り合うことで“お菓子は楽しい”ということが改めて広がっていくとうれしいですね」