これほど共通点があるのに、評価がこんなにも違うのには理由があると話すのはテレビ誌ライターだ。

「『ちゅらさん』は、登場人物がみんな魅力的でした。なんといっても国仲涼子さん演じる主人公・えりぃの、太陽のようなキラキラした笑顔に朝から元気をもらえました。それに比べ、『ちむどんどん』の登場人物はアラが目立つというか、感情移入しにくい人物が多いように思います。話題になったのは、竜星涼さん演じるムカつく兄こと“クズニーニー”でしたし(笑)」

それにひきかえ『ちむどんどん』は?

 とはいえ、『ちむどんどん』も記念作品のひとつで、本作は沖縄本土復帰50周年「つなぐ未来へ」キャンペーン参加番組のひとつとして制作された。公式ホームページでは「本土復帰からの歩みを描く笑って泣ける朗らかな、50年の物語」と謳っているが……。

沖縄戦や沖縄本土返還について触れながら、過酷な状況でも、主人公がたくましく生きていく姿を視聴者は期待していたと思います。そういったことに、ほぼ触れることなく、沖縄の少女の上京物語として序盤から展開してしまい、何を見せられているんだろうと思った人もいると思います」(前出、テレビ誌ライター)

 ストーリーに入り込めない、主人公に感情移入できない、そもそも沖縄を舞台にした意味はあるのかなど、SNSでは作品に対する不満が噴出している。

《いくら「物語なんだから楽しまなきゃ」といっても、設定がめちゃくちゃだと、楽しむ以前に違和感しか感じないんですよね》

《わからん。ほんまにわからん。登場人物のことも、制作陣のことも、こんなにもわからんことだらけのドラマってあるんか》

《沖縄出身の俳優を起用していたので、もっと歴史を掘り返す、当時の苦しみに寄り添うお話が展開するのかと思いました。名優をあの程度の使いよう……》

 そんな批判が続くなか、7月20・21日の第73・74回でようやく沖縄戦について触れられた。

 仲間由紀恵演じる母親と、遺骨収集活動をしている男性が、それぞれの悲惨な戦争体験を語ったのだ。仲間の迫真の演技には、「感動した」「涙が止まらなかった」という感想も見られたのだが、その余韻に浸る暇もなく……。

「ようやく沖縄戦の悲惨さが語られましたが、それが主人公の恋の成就の前座のような扱いになっていて、より視聴者の反感を買ったようですね」(前出、テレビ誌ライター)