今のように物流が整っていない時代。販路はどのように確保したのか。
「弊社の近くには、菓子の問屋街があります。そこに旅問屋と呼ばれる全国を回る問屋さんがあり、積極的に弊社のガムを売ってくださった。そのおかげもあり、『マーブルガム』や『フィリックスガム』が、日本全国で知られるようになったのです」
子どもが喜ぶガムを作りたい、という思いから、ガムの種類はどんどん増えていった。
「『マーブルガム』は、オレンジ、イチゴ、グレープ、ソーダなど数種類。『フィリックスガム』と同じブロック状ガムにも、コーラ、ヨーグルト、ソーダ、ブドウなど、数多くのフレーバーがあり、現在では約60アイテムのガムを製造しています」
ガム市場は縮小、少子化も進むが…
多彩な商品ラインナップが魅力の丸川製菓。しかしガムひと筋でずっと順風満帆だったかというと、そうではないという。
「実はガム市場は近年、落ち込む一方となっています。日本チューインガム協会の統計によると、2004年のピーク時に1881億円あったガムの小売額は、2021年には755億円と、半分以下に縮小。グミやタブレットの台頭などで、ガムを食べる人はかなり減っているのです」
それに加えて、少子化により子どもの数も減っている。
「子どもの数が多かった平成初期と比べると、弊社の売り上げも減少しています。しかし、少子化が進むにつれて、業績も低下しているかというとそうではなく、横ばいを維持できている。これは子どもだけでなく、大人の方が懐かしさで弊社のガムを食べてくださるからでは、と考えています」
この推測に従い、家族で食べることを想定した商品も売り出した。
「袋入りやボトル入りのマーブルガムやフィリックスガムを販売したところ、大好評でした。これらは、ドライブ時の気分転換など、いろいろな用途で大人の方も食べてくださっているようです」
丸川製菓のガムは海外でも愛されている。
「世界の子どもにもおいしさを伝えるために、弊社では1959年からアメリカや南米、アジアなど世界中の国への輸出を開始しました。業績は好調で、今では約3割が海外での売り上げです」