手術で痛みや胸がどうなるか心配に…
手術は入院翌日。術後の痛みと、切除後の胸がどうなるのかが不安だった。事前の説明では、手術は全身麻酔で行い、しこりから周囲1〜2cmの範囲で乳腺を切除。リンパ節の転移はないと診断されていても、わきのリンパ節の一部を取って、手術中に転移の有無を確認する「センチネルリンパ節生検」も行う。転移が認められた場合は、わきの下のリンパ節を取り除く「腋窩リンパ節郭清」が追加される。
手術時間は、がん切除と生検のみの場合は1時間30分〜2時間、郭清(※)も行うと2時間〜2時間30分程度。さらに麻酔の導入と覚醒で1時間ほど。麻酔から目覚めたら手術は終わっていて、実感としてはあっという間だった。生検の結果、転移はなく、腋窩リンパ節郭清もせずにすんだ。また、鎮痛薬のおかげで術後の痛みもほぼ感じなかった。
※郭清:がんだけでなく、周囲のリンパ節や転移している可能性が疑われる組織を徹底的に取り除くこと
手術翌日には食事も再開し、下半身シャワーもできる。気になる胸は、えぐれたり歪な形にはなっていなかったのでホッとした。現在は、ボリュームが少し減って、皮膚がわずかに外側に引っ張られている感じはあり、数センチの傷痕は残ったもののパッと見はさほど気にならない。
術後の状態も良好だったため、予定どおりに4日で退院。重い物を持つなどしなければ、退院翌日からでも仕事復帰は可能と聞いていたとおり、帰宅後すぐにでもデスクワークはできそうだった。
ステージ0でも週5で放射線治療
術後は、がん細胞の再発・転移の可能性を少なくするために、補助治療が必要となる。
「補助治療は、がんの拡がりや、リンパ節転移の有無、がん細胞の悪性度などを調べ、それらの性質に合わせて化学療法(抗がん剤、分子標的薬の治療)やホルモン治療を組み合わせて行います。乳房温存手術の場合は、放射線治療を行うのが一般的です」(御喜さん)
放射線治療により、乳房内再発が約3分の1から4分の1に減るそうだが、その効果を得るまでが意外と大変だった。
放射線治療は、週5日ペースで、5〜6週間かけて照射を行う。1回の照射時間は2〜3分程度で、スムーズにいけば病院滞在時間はトータル15分程度。とはいえ、移動時間などもあり、毎日数時間は仕事や日常生活の調整が必要だ。
病院スタッフの方々が「あと○回ですね。頑張りましょう」とたびたび励ましてくれたおかげで、全25回の治療を終えることができた。以降は、数か月~年に1度、各種検査を行う。術後の経過観察期間は10年間と長い。これは、乳がんは、晩期再発(初期治療から長い時間が経過した後に病気が再出現すること)を起こす可能性があるからだ。