加熱式は紙巻きよりも酸化ストレスが少ないとの研究報告
では加熱式たばこの健康への影響は小さいのでしょうか。紙巻きたばこを選ぶ理由が自分以外への配慮にせよ、自分の健康を気遣うにせよ、そうした配慮の大元にあるのはたばこの健康への影響が心配されているからでしょう。
加熱式たばこを利用する愛煙家にとっての朗報は紙巻きたばこと比べて加熱式たばこの健康への悪影響が小さい可能性があるとする研究報告が出てきていることでしょう。
2022年9月にイタリアの研究グループは、過去の論文を網羅的に調べて、加熱式たばこの酸化ストレスへの影響について分析しています。酸化ストレスは、心臓や血管の病気、またはがんの発生など、病気を引き起こす原因の一つとして問題視されています。研究グループは従来の研究によると、紙巻きたばこと比べると、加熱式たばこや電子たばこは、酸化ストレスの発生の影響を減らせると解説しています。
研究グループは、加熱式たばこの影響を検討する研究はまだ途上ではあるものの、紙巻きたばこと比べると、加熱式たばこの健康に対する安全性は高いと考えを示しています。
分析結果を見ると、愛煙家にとってはホッとするところはあるのかもしれません。
「分煙」に貢献している愛煙家
そんな研究結果はありますが、分煙の動きは継続的に進んでおり、そうしたルールは抑えておく必要があります。2018年に健康増進法が改正、2019年1月より一部施行され、2020年4月には全面施行されました。
学校や医療機関、役所、児童福祉施設などをはじめ、飲食店やオフィスなどでも原則屋内禁煙となっています(飲食店やオフィスでは屋内に喫煙専用室の設置も可能)。
屋内禁煙が徹底される中で、かえって屋外や路上喫煙が増えてしまえば、また受動喫煙などの問題につながりかねません。ですから企業や地方自治体では屋外喫煙所の設置に動いています。例えば、大阪府はガイドラインを設け、19年から24年にかけて府内に20~30カ所の整備を進める目標を掲げます。
愛煙家がたばこ購入を通して負担しているたばこ税は、こうした屋外分煙設備の拡大に貢献しています。2020年の与党税制大綱では、「たばこ税の活用を含め、地方公共団体が積極的に屋外分煙施設等の整備を図るよう促すこと」と明記されました。日々のたばこ代が分煙にも一役買っているのは意外と知られていないかもしれません。