2018年税制改正でたばこ税の税率の引き上げが決まり、紙巻きたばこ1本当たり1円ずつ、3段階で合計3円引き上げられることになりました。加熱式たばこは別の枠組みの下で2018年から5年連続で引き上げられることになりました。2022年10月は加熱式たばこ増税の最後の回になります。
10月以降、JTは代表的な加熱式たばこの改定価格として「メビウス・プルーム・テック専用」を570円から580円に引き上げます。「メビウス・プルーム・テック・プラス専用」は580円で据え置きます。代表銘柄41銘柄のうち17銘柄の価格を10円引き上げ、24銘柄の価格を据え置きます。
フィリップ モリスは、「マールボロ・ヒートスティックファミリー」12銘柄、「ヒーツファミリー」11銘柄の価格をそれぞれ20円引き上げます。「テリアファミリー」15銘柄、「センティアファミリー」11銘柄について20円の価格引き上げを予定していましたが、それを取り下げて据え置きとしました。
こうしてみると、モノの値上げが話題に上ることが多い昨今、加熱式たばこの値上げはマイルドで、各社も“頑張っている”といえるでしょう。
吸う人と吸わない人のさらなる共生を
ここまで述べてきた税収への貢献やマナーの良さや周囲への配慮を考えると日本の愛煙家もまた“頑張っている”といえるのではないでしょうか。
オフィスビルや商業施設などに行くと、喫煙者たちが喫煙ルームに行列を作って順番待ちをしている姿をよく見かけます。私の知人のあるフランス人によると、それは「マナーの良さ」という意味で驚きの光景なのだそうです。もちろん今後の愛煙家のマナー意識にもよりますが、見方によっては吸う人と吸わない人の共生はある程度達成されているのかもしれません。
<星良孝 ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト>
参考文献
加熱式たばこ、年間で初のシェア3割超 21年度国内販売(日本経済新聞)
加熱式たばこ使用者を対象としたインターネット調査(定量調査)
加熱式たばこに関する意識調査2022(ネットエイジア株式会社)
大阪府「屋外分煙所」モデル整備のガイドライン(令和4年1月版)
たばこにはどれくらいの税金がかかっているのですか?(財務省)