「近所にコロナ後遺症外来があるかどうかをまずは調べてみてください。専門機関のリストを作成している自治体もありますし、実際に医療機関に電話をして“コロナ後遺症の倦怠感を診察してもらえますか”と確認するのもよいでしょう。
医師にとってもまだ知見が十分に積み重なっていない分野なので、治療に意欲的で、親身になって寄り添ってくれる医師に出会うことがとても重要です」
近隣にコロナ後遺症外来が見つからない場合、オンラインで診療を受けるというのも選択肢のひとつだ。
「最近ではオンラインでの遠隔診療に対応している保険診療の漢方医院もあります。私は『出雲漢方クリニック』という漢方専門医院をおすすめしていますが、自宅で診察を受けることができ、処方薬もすぐに宅配してもらえるのでとても便利です。
この先医療機関の逼迫(ひっぱく)が考えられるなかで“後遺症難民”にならないために、こういった選択肢があることも覚えておくとよいでしょう」
気温や湿度が下がるこれからの季節は呼吸器系のウイルス感染症が流行しやすい。この冬に第8波が起きる可能性も高く、コロナとインフルエンザの同時流行も考えられる。そこにきて、1000万人以上もの感染者が出た第7波の後遺症患者が急増するという最悪のケースも想定しておかなければならないだろう。
「不幸中の幸いというわけではありませんが、現在のところコロナ後遺症が直接の原因で亡くなった方はいません。唯一あるとすれば、コロナ後遺症によって心を病んでしまい、自死に至ってしまうケースです。
つらい症状が続き不安な気持ちになってしまうこともあると思いますが、まずは心を健やかに保ち、前向きに治療にあたることが何より大事だと感じています」
コロナ感染は、重症化のリスク以外に後遺症のリスクも伴う。この冬も十分な感染予防を怠ってはならない。
【コロナ後遺症の代表的な症状】
●疲労感・倦怠感 ●関節痛
●筋肉痛 ●咳
●喀痰 ●息切れ
●胸痛 ●脱毛
●記憶障害 ●集中力低下
●不眠 ●頭痛
●抑うつ ●嗅覚障害
●味覚障害 ●動悸
●下痢 ●腹痛
●睡眠障害 ●筋力低下
厚労省は『新型コロナの罹患後症状』についてのガイドラインを発表している。原因や治療についてはいまだ明らかになっていない
教えてくれたのは……新見正則先生 ●新見正則医院院長。オックスフォード大学医学博士。外科・免疫学・漢方の知見をもとに、セカンドオピニオンの第一人者としても活躍。世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓発も行っている。
新著『フローチャートコロナ後遺症漢方薬 あなたも今日から診療できる!』
(3190円/新興医学出版社)は10月13日発売。
〈取材・文/吉信 武〉