いつまでも健康で若々しくありたい。この願いを叶えるためのキーワードのひとつが“血糖値”だ。
食前に飲むだけで血糖値の上昇を抑制
「食べ物を食べると誰でも血糖値が上がります。ただし、その上昇をゆるやかにすることが大切です。なぜかというと、血糖値が急激に上がっては下がることを繰り返すと次第に血管に負担がかかるようになり、その蓄積によって糖尿病などの病気が引き起こされることもあるからです」
そう話すのは、同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センターの八木雅之先生。
「人は血管から老いるといわれています。つまり、血管をきれいに保つことが健康や若々しさの維持につながるのです」(八木先生、以下同)
八木先生を中心とするチームは、市販のさまざまな食材を用いた食後血糖値の上昇抑制効果の研究を行っている。これまでいくつかの食材で効果がみられたというが、中でもイチ押しなのがレモン。
「私たちが行った研究では、食前にレモン果汁を15~30gとってから米飯を食べると、食後の血糖値の急激な上昇を抑えられることがわかりました」
なぜ、食前にレモン果汁を摂取すると食後血糖値の急上昇を抑えられるのだろうか。
「レモン果汁30gの中には約2gのクエン酸が含まれています。クエン酸のような有機酸が胃の中に入ると消化がゆっくりになります。糖の吸収は小腸の上部で行われますから、胃から腸に送り出されるスピードが遅くなることで、血糖値の上昇がゆるやかになります」
レモン果汁は1回の食事ごとに15~30g摂取するのが理想的だが、摂取方法やタイミングに特に厳格なルールはない。
「例えば、乾杯のタイミングでレモン果汁15gを水で割ったレモン水を飲み、15gをサラダのドレッシングや酢の物に混ぜたり、おひたしにかけたり、唐揚げにかけたりしてとるような形でも十分に効果を得られます」
レモンの果汁は、生のレモンを搾ったものでも、市販されている果汁100%のものでも効果は変わらないそう。市販のものを選ぶときには、砂糖の入っていないタイプを選ぶこともポイント。
「生のレモンの場合は、搾ったときに爽やかな香りが立ち、リラックス効果も得られていいですね。
同様にクエン酸を含む柑橘類で、代表的なものにグレープフルーツがありますが、薬によっては飲み合わせ的にNGなこともあります。その点、レモンにはその心配はありません」
食事の最初にまず野菜を20分かけて食べる“べジファースト”に比べて、レモン水なら、食事の直前や食事中に飲んでもOKだからなんとも手軽!
もちろん、食事だけでなく、おやつにもレモン果汁は有効。
「摂取した炭水化物に対してクエン酸の働きで食後血糖値の急上昇を抑える、という原理は同じ。糖質が多いおやつを食べる前にレモン果汁をとるのもいいですし、コーヒーの代わりにレモン水を飲みながら食べるという方法でもいいでしょう」
実際、八木先生の周囲には、食前にレモン果汁をとることで血糖値が安定するようになった人がたくさんいる。
「手軽に血糖値を測定できる装置“FreeStyleリブレ”を使っている人は、みなさん、血糖値が上がりにくいことを実感して驚いています。自己判断はもちろんよくないですが、“血糖値への不安が少なくなった”とおっしゃる糖尿病の治療中の方がいるほどです」