「しゃがめない」「バンザイできない」「まっすぐ走れない」できない子どもが増えている。
猫背・あご出し・骨盤後傾姿勢不良の子どもたち
実は今、かかとを床につけたまましゃがめない子どもたちが増えているという。
「かかとを上げないとバランスが取れず、後ろに転びそうになるのは、骨盤が後傾して後ろ重心になっているため」と教えてくれたのは、アスリートの指導も行うプロトレーナーの高林孝光さん。
ほかにも高林さんはバンザイができない、まっすぐ走れない、体育座りができない、片足立ちができないといった子どもを目にしてきた。
実際、基本的な動作ができない子どもは増加傾向にあり、2016年度から学校の健康診断に「しゃがみ込むことができない」「両腕とも痛みなく、完全に上まで上げられない」「身体を前屈、後屈できない」などのチェック項目が追加された。まるで高齢者の健康診断だ。
「昔と遊び方や生活様式が変わり、日常の中で身体を使う機会がめっきり減ったことが大きな要因です。でも、やり慣れておらず、上手に身体や筋肉を使えてないだけなので、すぐにできるようになります」(高林さん、以下同)
文部科学省が1964年から行っている「体力・運動能力調査」では、1985年ごろから低下傾向が続く。
「昔は木登りやかけっこ、めんこ遊びなど、身体をめいっぱい使う遊びが中心で、その中で筋肉が発達し、身体の使い方を自然に習得しました。
一方で現代っ子は、外遊びを含めて運動の機会が昔よりも格段に少ないため、身体の使い方を体得することが難しく、筋肉の発達が不十分になりがち。日常的に運動している子どもたちの能力は、現代でもやはり高いのです」
ゲームやパソコンが普及し、それに割く時間が増えたこと、子どもにとって大切な外遊びやスポーツが軽視された影響も大きい。
「『私の運動能力が子どもに遺伝した』とおっしゃる親御さんもいますが、遺伝するのは身体の特徴などの身体能力。運動能力は筋力を使う体験によって身につくもの。
今、使われていない筋肉を子どもに合わせた筋トレで目覚めさせれば、運動能力はどんどん高まります。その妨げになるのが、子どもたちの姿勢です」
子どもの3大不良姿勢と呼ばれるのが「猫背」「あご出し」「骨盤後傾」だ。ゲームやスマホ、勉強をしているとき、前かがみになりやすいため、猫背の子が多いという。