諦めなければ、50代、60代でも輝ける!

治療中でもウィッグで好きなヘアスタイルを楽しみ、帽子でおしゃれをする井出さん
治療中でもウィッグで好きなヘアスタイルを楽しみ、帽子でおしゃれをする井出さん
【写真】ステージ4のがんを経験しても輝く現在の姿

 そんな絶望のなか、井出さんを救ったのは、女優の故・樹木希林さんの「おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きればいい」という言葉だった。

「この病気と一緒に仲良く生きていくしかない。人をうらやましがっても仕方がないと思えるようになりました。

 脱毛したことを悲しむのではなく、せっかく髪がないんだから、金髪のウィッグをつけちゃおうとか(笑)

 がんサバイバーの女性が出演するファッションショーへの参加やミセスコンテストへの出場という挑戦も行い、閉ざしていた心がどんどん解放されていった

「がんの当事者でなくても、女性が40代、50代になれば、みんな家族や健康などさまざまな悩み事がある。周りが全員幸せに見えて、誰にも会いたくないと思っていたけれど、たくさんの人と話しているうちに、お互いに励まし合える存在だとわかりました」

 今、井出さんは46歳。これからが楽しみと語る。

「30代で輝けなかったぶん、50代、60代でも輝いていける女性になりたいです。ステージ4のがんを経験した私が年齢を重ねても輝いていたら、プラスのメッセージを発信できるかな。がんになって、諦めなければ誰でも輝けるということがわかったから、年齢を重ねるのは怖くないんです」

井出久日子さん●客室乗務員を経て、妊活中にがんを発症。現在は、某航空会社の地上職勤務。ブログ「乳がんステージ4からの復活」などで自らのがん治療の経験を発信している。
井出久日子さん●客室乗務員を経て、妊活中にがんを発症。現在は、某航空会社の地上職勤務。ブログ「乳がんステージ4からの復活」などで自らのがん治療の経験を発信している。
井出久日子さん●客室乗務員を経て、妊活中にがんを発症。現在は、某航空会社の地上職勤務。ブログ「乳がんステージ4からの復活」などで自らのがん治療の経験を発信している。

(取材・文/河端直子)