サイレント遅延の原因

「まず整理すると、基本的に鉄道事業者が遅延の情報を表に出すのは、概ね“15分以上”の遅延です。JRは“30分以上”としていますが、公式にアナウンスする遅延の基準が15分程度から、ということです」(枝久保さん)

 鉄道会社各社のホームページに掲載されている遅延情報の発信の“基準”は以下となる。冒頭で憤られた鉄道会社を中心に引用する。

《列車の運行に15分以上の遅れが発生、または見込まれる場合の情報をお知らせしています。》(東京メトロ)

《概ね10分以上の列車の運転見合わせが発生した場合、または見込まれる場合の情報を、路線別でお知らせします。》(大阪メトロ)

《4時~翌2時の間に、JR東日本管内で30分以上の遅れが発生または見込まれる場合、「遅延」とご案内しています。》(JR)

《おおむね30分以上の遅れや運転見合わせが発生した場合、または見込まれる場合に、情報を表示しお知らせいたします。》(京阪電車

《30分以上の遅れが発生した場合、列車運行情報をお知らせします。》(近鉄列車)

「ただ最近ですと、15分以上遅れないと一切何もアナウンスしないかというとそうではなくて、数分の遅れでも“電車の到着が遅れまして申し訳ありません”というお詫びであったり、“今何分遅れております”といったアナウンスはほとんどの場合行われています。ただ、それは義務付けられているわけではないですね」(枝久保さん、以下同)

 また“基準”とは違う、“現場判断”もある。

「現場レベルで判断して、駅員や車掌が個別に状況説明やお詫びをすることも当然あります。人によっては“2分遅れで運行しています”と言う人もいます。一方でそこまでしっかりアナウンスをしない車掌も中にはいるでしょうから、そういうところで気になっている人がいるのかな、という印象ですね。ただ利用者からすればどこからが正式なアナウンスで、どこからが現場判断のアナウンスかわからないという面はありますよね」

 また、このような遅延に憤るのは、少なからずコロナも影響もあるのかもしれない。「日本の電車は世界一、時間が正確」などと昔から言われてきたことだが……。