最後の煮汁も主役に。おでんはうまみの宝庫
「寒さが深まって大根がおいしくなると、おでんの季節だなと感じます」
小林まさみさんの記憶に残るのは“黄金鍋”で煮込まれた実家のおでん。
「両親が鮮魚店を営んでいたので、練りものや手作りのいわしつみれ、ゆでたタコなど魚介のおでん種がいろいろ入っていましたね。大きな金色の鍋を家族5人でわいわい囲んでいました」
結婚しておでんを作るうちに追加したのは手羽先。練りもの類の魚に肉を組み合わせると、異なるうまみで1+1が2以上になると実感した。塩やしょうゆなどは控えめに、だしと食材の持ち味を活かすベースができた。
「だしは昆布とかつお節です。昆布だしが肝心なので鍋に昆布と水を入れたらごく弱火で20〜30分煮出し、その間に具材を用意。
大根はゆでずにレンチン、ロールキャベツはほかの素材の味を損なわないように肉だねを詰めません。煮込むうちに鶏肉や練りもののうまみが染みわたります」
たしかにロールキャベツをかじるとトロッとやわらかく甘さが広がり、肉だね不要のおいしさ。最後に残った煮汁は、義父まさるさんのリクエストで絶品炊き込みご飯に。
「おでんはみんなが喜んで、2日続いても飽きない料理。具材を変えておもてなしに登場させたり、気負わず作ってもらえたらいいですね」
【手羽先と具なしロールキャベツのおでん】
材料/4〜6人分
・鶏手羽先(骨に沿って切り込みを入れる)……12本
・大根……1/2本(600〜700g)
・キャベツ……8枚(約500g)
・ゆで卵……4個
・さつま揚げ……6枚
・いわしつみれ……6個
・ちくわ(斜め4等分)……大1本
・溶きがらし……適量
A〔だし汁……7カップ、酒……1/4カップ、砂糖……大さじ1/2、しょうゆ……1/4カップ、塩……小さじ1〕
【作り方】
(1)大根は2cm厚さで8枚輪切りにし、厚めに皮をむいて1/3くらいの深さまで十字に切り込みを入れる。直径25cmの耐熱皿に並べてふんわりラップをかけ、レンジで8分加熱する(竹串が通る程度が目安。かたければ延長する)。
(2)大きいラップを十字に広げてキャベツの葉を広げた状態でふんわり包み、レンジで3分加熱、裏返して3分加熱する。取り出して粗熱をとり、手前、両端を折って巻き、ようじで留め、8個作る。
(3)土鍋に大根、鶏肉、ロールキャベツを順に重ねて入れ、混ぜたAを注ぎ強火にかける。ひと煮立ちしたらアクを取り、蓋をして弱火で40分ほど、大根がやわらかくなるまで煮る。
(4)盆ざるに練りものを広げ、熱湯をかけて油抜きする。大根が煮えたら、ゆで卵とともに隙間に入れ、同様に15分煮る。お好みで溶きがらしを添えていただく。
《POIMT》具なしロールキャベツは、手前の芯の部分を折ってから両端をたたんでクルクル巻き、真ん中をようじで留める。
翌日はいつもの!【おでんの煮汁で炊き込みご飯】
材料と【作り方】
米2合(360ml)は洗って30分水につける。水けをきった米と冷ましたおでんの煮汁430mlを炊飯器の内釜に入れて普通に炊飯する。
炊き上がったら、おでん種の残り(さつま揚げ1枚とちくわ1切れを1cm角に切ったもの、鶏手羽先1本の骨を取ってほぐしたもの)を混ぜる。