「いえ、今回の件で言えば“Z世代”という括りは関係ないと思います」とは、2013年の“バカッター騒動”も含めた、SNS炎上の背景を独自取材してきているITジャーナリストの三上洋氏。
「(炎上した動画は)ほとんどがインスタグラムのストーリーズ、もしくはTikTokも含まれていると思いますが、目的は“多くの人に見てもらってバズろう”というものではありません。その多くは“身内”にだけに見せたい、わかりやすく言えば居酒屋で友人たちに話す“武勇伝”でしょう。
本来は、自分の仲間だけに配信したと“思い込んでいる”動画で、“こんなに悪いことしてやったぜ”という悪さ自慢のためにやったものがほとんどだと思います」
どうやら、炎上目的でYouTubeに動画を投稿する迷惑系ユーチューバーらのように、収益を稼いだり、他者から見られたい、騒がれたいといった承認欲求を満たす行為とは種類が異なるようだ。
友人限定のはずが友人から友人へ
三上氏によると、24時間で消えるストーリーズは元より“フォロワー”だけに配信するプライベートツールの役割が主なのだとか。そんなプライベートなはずの動画が、全くの他人のツイッターに“流出”して拡散されてしまうのはなぜか。
「配信を視聴した友人(フォロワー)は、シンプルに面白いと思って画面収録機能を使って動画を保存します。そして別の友人にも“俺の、私の友人がこんなバカなことやってるんだよ”と見せるのですが、友人の友人と言ったらもう他人ですよね。
その人にしてみれば、“えっ、ひどい”とさらに保存されては次第にクラスや別のコミュニティーにも広がり、しまいにはSNS投稿されて炎上。またはツイッターの“炎上ウォッチャー”と言われるアカウント、たとえば滝沢ガレソ氏への“タレコミ”となり、本人の知らないうちに拡散されてしまっているのです」(三上氏、以下同)
なるほど、迷惑行為をした本人は仲間内で盛り上がるための“ネタ”として配信したつもりが、まさか友人から友人へ、さらに不確定多数に拡散されるとは微塵も思っていないワケだ。仲間内からの他意なくして、または意図的による流出が原因か。
さらにストーリーズを「フォロワー、仲間内だけに見せられる便利なツール」と誤解しているユーザーも多いようで、次々と出てくる新しいSNSサービスへの理解が追いつかない認識不足もトラブルを招く原因になるとも。