『星降る夜に』のあのシーンに抱いた懸念、夏帆よりも川口春奈
そんな『星降る夜に』だが、第1話の冒頭に思うところがあったという。
「一星(北村匠海)が初対面の鈴(吉高由里子)の写真を無遠慮に撮り、キスまでしてしまう。“ろう者ってこんなに失礼な行動をするの?”と変な誤解が生まれるんじゃないかと、心配になりました。僕は子どもに習い事をさせているので、聴こえる人との交流もたくさんあります。
僕がろう者であることをまったく気にしない人もいれば、警戒する人ももちろんいます。警戒心の強い人があの場面を見たら……と思うと、やはり心配です。あと声を文字化するアプリ『UDトーク』が両作品で大活躍していますが、実際に使ってみるとよくわかると思いますが、ドラマほど精度は高くありません」
出演俳優たちの手話の腕前は、やっぱり気になるところ。
「『silent』の目黒蓮さんは中途失聴の役なので、立場が違う僕がコメントするのも……なので控えておきます」
『silent』の夏帆の手話はSNSなどで“すごく上手”と話題になっていたが、
「夏帆さんの役は、僕にはどうしてもろう者には見えませんでした。手話がオーバーすぎて、しつこかった。おそらく“手話には表情が必要”と知ってくれて、それを一生懸命やった結果、大袈裟になり、違和感になってしまったんだと思います。
一部では“顔芸”と言われていましたから。努力の結果であることはもちろんですが……。実際のろう者は、楽しいときなどには大きなアクションをしますが、普段の会話はもっと落ち着いています。そういう意味では、川口春奈さんの手話は自然でしたね。川口さんは聴こえる役だったこともあるのかもしれませんが、控えめなのが逆にすごく自然で。“センスあるな”と思いました」
なんと、物語とは真逆の結果に……! さらに『silent』で手話センスを感じたのは、手話講師を演じた風間俊介。
「風間さんの手話は自然で、びっくりしました。手話教室の同僚を演じていたのは江副悟史さんなんですが、ろうの俳優として非常に有名な方です。お人柄も素敵で、手話を教えるのもすごく上手。江副さんと一緒のシーンもあった風間さんは、江副さんのいい影響を受けたのかもしれないなと思いました」