源泉かけ流し=絶対に清潔という認識は捨てるべき
源泉かけ流しなら新鮮なお湯が次々と流れて入ってくるから湯船はキレイなのでは?
「それは大きな間違いです。浴槽の上部から湯が注がれる風呂では、結局は新鮮な湯が浴槽の上面を滑ってあふれるだけで、浴槽の底にあるお湯は滞留しがちです。つまり古いお湯がずっと残り続けていくことになる。浴槽の隅には髪の毛などのゴミや人の垢がたまりやすく、湯を抜いて清掃を行わなければ汚れはたまり沈殿していく。源泉かけ流しだから“絶対に清潔だ”という認識は捨てるべきです」(同・旅行業界関係者)
さらには、温泉成分が結晶化した“湯の花(=スケール)”も危険だという。
「温泉の湯口まわりなどに付着している白や茶色の塊がスケールなのですが、これがレジオネラ菌の温床になる。浴槽の中にある場合は特に危険です。取り除かないと、細菌の“巣”を完全に退治することはできません。スケールを“風情だから”と、あえて残す旅館もあるようですが……」(同・旅行業界関係者)
ある清掃会社の社長から、こんな話を聞いたとも続ける。
「《温泉成分で足元が滑りやすくなっております》と書かれている風呂場がありますが、これは“たんに清掃が不十分なだけ。強アルカリ性のぬるぬるした泉質の温泉でも、キッチリ清掃すれば滑らない”と言っていました。ただ、清掃は重労働で人件費もかかります。仕事が忙しく、家族経営の旅館では、なかなか手が回らないこともある。そういった現状も知っておいてほしいとは思います」
人の命に関わる事態に発展する危険性もあるだけに、適切な清掃を心がけてもらいたい。さらに気になるのは、ビジネスやレジャーで利用するホテルの衛生面について。
「信用できない……というのが正直なところです。私がホテルを利用するときは、使い捨てのものしか使用しません」
こう話すのは、都内のホテルで働く現役女性従業員だ。
「コロナ禍の影響で経験のある清掃員が解雇され、今はまったく人手が足りていないんです。そのため、多くのホテルが使用済みの部屋を清掃しきれず、全室稼働できない苦しい状況に置かれています。過酷なのに薄給な仕事ですから、働いているのは外国の人ばかり。文化が違いますから、日本的な規範意識のもと清掃が行われているかというと疑問が残ります」(同・女性従業員、以下同)
そして、衝撃の事実について明かしていく。
「一番イヤだなと思ったのは浴室です。簡単に清掃したあと、お客様が使ったシーツで水滴を拭きあげることになっています。誰が、どんな状態で使ったかわからないシーツで拭かれた浴槽って気持ち悪いですよね。なのでシャワーを使うときでも、必ず浴槽を洗ってから使っています。お湯をためて湯船につかることは絶対にしません」