掛け布団をクリーニングに出すのを見たことがないホテルも
問題点はほかにも。
「今の勤め先は半年に1回、掛け布団をクリーニングに出していますが、以前勤めていたビジネスホテルではクリーニングに出すのを見たことがありません。費用がかさむからなのでしょうけど、干すこともしなければ、布団乾燥機を使うこともない。シーツをかけるとはいえ、洗わないのは不衛生だと思います」
厚生労働省は、布団は6か月おきに洗うことが望ましいとする指針を示している。
「挙げればキリがありませんけど、客室にある電気ケトルも要注意。以前、韓国人のお客様が電気ケトルにラーメンを入れて食べていたことがありました。臭いがとれなかったので捨てましたけど、実際どんな使われ方をしているかわかりません。使った形跡があっても、水を切って拭くだけです。コップなんかも、清掃員がちゃんと洗っているのかわかりませんし……」
ラブホテルで清掃員をする男性は、こんなことを言う。
「浴室と部屋にあるコップを、客が使ったタオルで拭くことはあります。そして消毒もせず“消毒済み”と書かれた袋をかぶせるんです。1部屋30分で片づけないと仕事が終わりませんから、消毒なんてしてる余裕はありませんよ」
数年前に静岡県内のリゾートホテルで働いていた女性は、
「最近は使い捨てが多いですけど、使い回しているスリッパは拭きもしないし消毒もしていません。そろえて“消毒済み”と書かれた紙をつけるだけ。もちろん私は使わないようにしています。だって、水虫がうつりそうだし」
と笑顔で話すが、ウソの表示までしているというのだから笑えない……。
「これらがすべてのホテルで行われているわけではありません。キッチリ清掃している宿泊施設も、ちゃんとありますよ。ただ、結局は人間のやることなので過信しないことが大事なのだと思います」(前出・女性従業員)
GWも間近だが、あなたが泊まるホテルは大丈夫?
松田忠徳 旅行作家。“温泉教授”の愛称で知られ、温泉学の第一人者。著書に『おとなの温泉旅行術』(PHP新書)、『温泉力』(集英社インターナショナル)などがある