「自分ががんだとは思いたくない」という気持ちが、検査を遠ざけているのかもしれない。さらに、大腸内視鏡検査には大きなメリットがある。

「病変があればすぐに採取して生検に回し、がんかどうかの診断ができます。CTCやカプセル内視鏡の場合は、それができない。再度、大腸内視鏡を行う必要が出てきます」

おすすめは「予約が取りにくい病院」

 便潜血検査が陽性になり、大腸内視鏡検査を受けるときの病院選びのポイントは?

「まずは口コミを確認して、評判の良い消化器内科のクリニックを探してみてください。ひとつの目安として予約が取りにくいところは、期待が持てると思います」

 また、医師「消化器内視鏡専門医」かどうかもチェック。専門医は、訓練を行い多くの経験を積んで資格を取得しているため、腕は確かだ。専門医は日本消化器内視鏡学会のHPから検索ができる。

「クリニックには、HPで医師のプロフィール部分に資格を掲載しているところが多いですよ」

大腸内視鏡検査 ※画像はイメージです
大腸内視鏡検査 ※画像はイメージです
【写真】最新の検査で実際に見つかった腫瘍や病変

 40歳以降であれば、ポリープが見つかる人も多いので、自費健診で受けた場合も、翌年以降は保険適用で検査を受けられる可能性も高い。

「大腸がんは初期に治療を行えば、生活の質を下げるリスク、命に関わるリスクが少なくなります。40歳以上なら、一度は大腸内視鏡検査を受けることが、最善の方法です。親族に大腸がんの方がいる場合は特に意識してほしいですね。抵抗がある人は人間ドックでCTCやカプセル内視鏡を試してみるのも手です」

 今後、大腸がんを含め、がん検査はどういった進化をしていくのだろうか。

「リキッドバイオプシー(液体生検)といわれる、血液、唾液、尿などの解析から、がんの有無や種類を診断する研究が行われています。今はまだ、『がんの疑いがある』のがわかるレベルなので、今後の展開が楽しみな分野です」

近藤しんたろうクリニック院長の近藤慎太郎先生
近藤しんたろうクリニック院長の近藤慎太郎先生
教えてくれたのは……近藤慎太郎先生●近藤しんたろうクリニック院長、内科医、医学博士。消化器の専門医として、数多くのがん患者を診療。年間2000件以上の内視鏡検査・治療を手がける。テレビ、ラジオ、雑誌など多数出演。

取材・文/ますみかん