カビなかった理由は不自然ではない?

 では都市伝説的に語られていることについては……。

「食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、食品の保存性を高めるために使用される添加物としては、保存料と日持向上剤があります。食パンのカビ発生を抑える保存料としては、プロピオン酸カルシウム等がありますが、当社では食パンの風味等への影響があるため、保存料は使用していません」

 日持向上剤については……。

「保存料ほど微生物の増殖を抑制する効果は大きくありませんが、食品の品質を保持する効果があります。食パンの種類によって、使用する原材料の種類、配合の違いから保存性に影響が表れることがあるため、保存試験の結果から、一部製品では日持向上剤を使用していますが、多くの食パンには使用しておらず、ロイヤルブレッドにも使用していません」

山崎製パンHPに記載されたカビの発生条件(山崎製パンの公式HPより)
山崎製パンHPに記載されたカビの発生条件(山崎製パンの公式HPより)
【写真】山崎製パンHPに記載されたカビの発生条件

 カビなかった理由は不自然ではなく、必然的な理屈があり、噂のような添加物の使用もなかった。今回の回答の一部は山崎製パンのホームページにも記載されている。当然、添加物の使用の有無も。にもかかわらず、噂を盲信し、さも製造元が悪い・怖いというようなツイートが散見された。

 SNSによって一個人の意見であっても広く流布するこの時代。一般人であろうとその発言には責任を持たなければならない。それは時にいわれなき風評被害につながるかもしれないのだから─。