求められる対策は?
中には身体が動かなくなったり、痺れを訴える人もいるというから注意が必要だ。では、何が原因で症状が出るのだろうか?
「ひとつは特定のにおいに脳が反応してしまうことが原因です。例えば、本人にとって嫌いな香水や柔軟剤のにおいなど、不快な思いをしたときの香りは脳に刷り込まれやすい。嫌悪感のある香りに感覚が敏感になっているから、そのにおいを嗅ぐと脳が反応して頭痛がしたり吐き気がしたりと体調が悪くなるケースがよくあります」
もうひとつは、柔軟剤などに含まれている化学物質が原因となっているそう。
「柔軟剤の香料は、香りを長持ちさせるために“マイクロカプセル”という小さな箱のようなものの中に入っているんです。そのマイクロカプセルの構成成分には強いアレルギーを引き起こす “イソシアネート”という化学物質が含まれていることが多い。柔軟剤はマイクロカプセルが弾けることで香りが広がっていくのですが、同時にカプセルの粒子も拡散してしまう。化学物質過敏症の方や花粉症など、もともとアレルギーがある人は柔軟剤の香りで症状が出る場合が多いと思います」
今年7月には消費者庁が香害問題に関心を持ってもらおうと啓発ポスターを刷新。この先どういった対策が求められるのか?
「今は治療薬などはないので、香害に苦しんでいる人たちは症状の出てしまうにおいを遠ざけるしかありません。あとは、室内にいるときは換気を十分にして空気の流れをつくってあげることが大事です。今後も香害に悩む人たちは増えていくと思います。消費者庁も、こういう問題があることをもっと広めるべきでしょう」
症状が出る人も出ない人も、周囲への気遣いが必要とされている─。