最後に紹介するのは、乳がん患者の生存率を左右する、体重の変化。

乳がんにかかった人にとって、大幅な体重の変化は望ましくありません」

 乳がんの診断を受けてから5年たつ患者を調査したところ、体重の変化が5%以内に維持されていた人は乳がんの症状が改善していたが、10%以上体重減少があった人は乳がん死亡率が3倍、10%以上の増加があった人は死亡率が2倍という結果に。

 体重の10%増加ということは、例えば50kgの人なら55kgということ。その程度の増加で乳がん死亡率が倍になるのだから驚きだ。

「アメリカの対がん協会は、乳がん生存者はバランスのとれた食事をとって定期的に運動することで、健康的な体重を目指し維持すること、としています。適切な食事と適度な運動で、長期にわたって、体重を維持することが大切なのです」

 日常に潜むさまざまな乳がんのリスク。まだまだ研究が進められている分野だが、10月のピンクリボン月間を機に、これらを少し意識したい。

佐藤典宏先生
佐藤典宏先生
教えてくれたのは……佐藤典宏先生●がん専門医。産業医科大学第1外科講師。膵臓がんを中心に1000例以上の外科手術の経験を持つ。がん患者に役立つ情報を提供するYouTubeがん情報チャンネルのフォロワー数は現在約12万人。

(取材・文/後藤るつ子)