指南3:「家族葬」もさまざまきちんと希望を残すべし
実行者は遺された人。
コロナ禍をきっかけに、葬儀のスタイルは大きく変化。データによると知人や職場関係の人も参列する「一般葬」が主流だったコロナ前に比べ、今は半数以上が「家族葬」を選び、「一般葬」は4分の1程度になっている。
しかし、これほど市民権を得ているというのに、いまだに“家族葬とはどういう葬儀か”という定義がはっきりとしていないため、トラブルが起こりやすい。
「コロナ禍は、本当に家族だけしか呼べない特別な期間だったため問題が起こりづらい状況でした。しかし、今は家族だけで行う人もいれば、“こぢんまり”という意味合いで家族葬という言葉を使い、参列者は親戚も友人も呼ぶという人も。
家族葬といっても人によって捉え方がまったく違うのです。ですから、親戚などから“なぜ呼んでもらえなかったのか”と、遺された家族が責められることはよくあります」
葬儀の要望はあえて残さない
見送ってくれる人がいるならば、見送る人が決めやすいようにしておくのがおすすめ。子どもに負担をかけたくないという思いから“質素な家族葬でよい”と曖昧に伝えることで、親戚と板挟みになったり、後日の弔問が多くて逆に困ることも。
書き残す場合は、それを選んだ理由を具体的に明記すれば、遺された家族が判断しやすくなる。
「亡くなったときに連絡をする人のリスト、菩提寺の連絡先、希望する遺影の保管場所を遺された人に伝わるように準備すれば大丈夫。葬儀のことは“遺された家族が決めること”と割り切るくらいのほうがよいと思います」
一方で、死後のことを任せる人がいない“おひとりさま”は、自分で自分を見送る準備をしておくべき。
まったく身寄りのいないおひとりさまが亡くなると、まず役所が戸籍を調べ、親族に引き取りを依頼するが、断られた場合、自治体によって直葬されることになる。
「会ったこともない親戚や友人が善意で葬儀などをしてくれたとしても、遺産は相続人以外手をつけられませんから、すべて自腹を強いることになるかもしれません。何とかしてくれるだろうと思うのは、大きな間違いです」
必ず残すべき情報と要望
・遺影用の写真の指定と保管場所
・訃報を知らせてほしい人の連絡先リスト
・菩提寺の名称、宗派、連絡先(あれば、予約、見積もりをした葬儀社の連絡先)