二宮は直近で『VIVANT』に出ているし、ほかにも日曜劇場『マイファミリー』(2022年)やミステリーだと『流星の絆』(2008年)という東野圭吾原作の名作があった。

 大沢、中谷、二宮、3人ともフジテレビドラマにも出てはいるのだが、一般視聴者にとって鮮烈だったのは、どうもTBSドラマなのである。『ONE DAY』のなかで唯一、月9の申し子感があるのが、警視庁・組織犯罪対策部の管理官・蜜谷満作役の江口洋介のみ。やたらと意味深に出てきて、実際、記憶を失った誠司が死体を前にして呆然としていたとき、「逃げろ」と電話してきたのは蜜谷らしく、キーマンなのである。

TBS感のある俳優陣を起用した狙いは?

 江口は、映画化もされてヒットした『コンフィデンスマンJP 』(2018年〜)シリーズのヒール役であり、『東京ラブストーリー』(1991年)や『ひとつ屋根の下』シリーズ(1993、1997年)などでも大活躍している。『コンフィ』も『東ラブ』も『ひとつ屋根』もすべて月9。江口洋介は月9常連なのである。

 もう1人、『コンフィ』と『SUITS/スーツ』シリーズ(2018、2020年)の小手伸也が月9常連と言っていいが、いくらキャラが濃くても主役級ではないので穴を埋めることは難しい。

 なぜ、そうしたのだろうか。キラキラ夜景都市というフジテレビっぽさのなかに、月9常連ではないTBSっぽい俳優を配置してみる。あえてそれを行ったのではないだろうか。こういった意外性、ひっくり返しのようなことがフジテレビドラマらしさの1つでもあるからだ。

 テーマ性や社会性のあるストーリーをじっくり見せるTBS(ゆえに“ドラマTBS”と言われてきた)に対して、フジテレビは面白さを優先してきた(“バラエティーのフジ”と言われてきた)。