マクドナルドでは就業前に研修がある。しかし一緒に働くスタッフと年齢や性別の差を感じることはなかった。
「膝が悪いことをみんな知ってるから、力仕事は代わってくれますよ。しかも働き出したら不思議なことに膝が痛まなくなったんです。歩くのも速くなり、職場までの通勤時間も5分短くなりました」
灰田さんの勤める店はいつも明るい雰囲気に包まれ、働きやすいという。月収は週2回、3時間の勤務なので3万円ほど。
「収入は現役時代とは雲泥の差ではありますが(笑)、これは自分のお小遣いに。接客する上ではお化粧にも気を配るようになったので、化粧品代になることが多いですね。
年齢によって肌も変わっていくので、自分に合うものを探すのは大変なのよ」
それでも、マクドナルドでの出会いがなければ、家でテレビを見ながらぼーっと過ごしていたかもしれないと話す。
「自分を律する今の仕事があることが本当に幸せ。人さまの喜びをもらって毎日を生きていると感じます。
昔は健康に気を使ってお金をかけていましたが、今は“ほどほど”に。十分長生きできましたし。運動するのも嫌いなので、それなら仕事をしたいですね」
さらに最近、近所の人たちと地域貢献を開始。地域の子どもに、野菜の収穫体験をしてもらう活動をしている。
「畑仕事なんてしたことはなかったですが、喜んでくれる子どもたちの顔を想像するのが楽しくて。これからも未知なる出会いを楽しみたいです」
灰田智香(はいだ・ちか)/19歳からキャビンアテンダントとして国際線、国内線で働く。出産後、ビジネスマナー講師、大学の非常勤講師を務めた。現在は夫と2人暮らし。マクドナルドの推しメニューは「マックシェイク」。
(取材・文/松澤ゆかり)