入居者でマウントの取り合い
前出のTさんが働いている施設は入居前は農家だった人が多く、畑や田んぼの広さ、お米やネギの収穫量でマウントを取る人もいたという。
「入居者同士、うまくいかないのが最大のストレス。ちょっとでも会話が苦痛になると感じたら、すぐ職員に相談してみてください。対面する機会を減らすよう、調整してくれると思います」(Tさん)
「安い給料でもまじめに働く職員にとって、施設上層部がやっている不正受給は許せないこと。告発したいけれど、自分が告発者だとわかるのが怖いという相談はよく届きます。多いのは提供していない介護サービスを申告し、介護報酬を受給するケース。発覚すれば指定取り消しの行政処分もあり得ます」(Tさん)
さらには、「経営のために雇われた施設長や部長は、年俸制で高給取りだったりします。全員がそうとはいえませんが、もともと現場経験がなく、コストパフォーマンス以外には無関心なことも。現場を見ていない人が上に立つと、職員同士のパワハラや不倫が横行しやすい。そういった施設では職員のモチベーションも下がりますし、利用者に不利益なことが起きたり、深刻な事件が生まれる危険性が高まると考えています」と、向笠さんは介護業界への不安を募らせた。
認知症かも?トラブル事例
■バラエティー番組でデヴィ夫人が身体を張っている姿を利用者が見て、床にマットを敷いて同じように飛び降りようとしていた。(「ケアきょう」アンケートより、★は以下同)
■利用者同士がケンカ。ひとりは柔道黒帯の男性で、柔道の構えでつかみかかろうとしたので、危ないと思い、間に入ったところ、腕が引っかき傷やアザだらけに。★
■夜勤でオムツ交換に行くと、横になった男性利用者の上にリハビリパンツを脱いだ女性利用者がまたがっていた……。★
■女性職員が男性利用者のトイレの介助を行った際、手やわき腹を触られた。以前にもその人は入浴介助中に別の女性職員の身体を触ったため、男性職員が対応することに。(厚生労働省 介護現場におけるハラスメント事例より)
■携帯電話がなくなったと利用者のAさんから申し出があった。電話をかけたところ、収集癖のある利用者のBさんの部屋から音が聞こえて……。捜すとベッドマットの下で発見された。★
■80代の父がショートステイ初日の夜、知らない入所者の女性がベッドに潜り込んできて……。翌朝、父から「今すぐ帰りたい」と連絡があり、すぐに帰宅させた。(ライターAさん)