97歳の義母の姿に未来の自分を重ねて
もののはずみさんは29歳で義母と同居を始め、今年で42年。97歳の義母とはどのような関係なのだろうか。
「義母は足腰が多少、弱くなってからも、手すりや壁につかまって家の中を自力で移動しています。私がしていることは、食事の用意と通院や往診の付き添いくらい。『介護、大変ですね』、『介護を頑張っていて偉いですね』とお言葉をかけてもらうたびに気恥ずかしさを感じています」
とはいえ、暮らしを明るく、軽やかに繰り回すもののはずみさんとの生活は、義母の心の支えになっているに違いない。
「毎朝、夫と義母は『おはよう、生きてる~?』、『生きてるでぇ』と挨拶のやりとりをしています(笑)。私と時々、ケンカをすることもありますが、心の中で『おばあちゃん、ごめん』とつぶやくと、翌朝、義母が『昨日は言いすぎたわ~』と謝ってくれたりするんです。
でも、私は照れがあるので『なんのこと~?』ととぼけて返してしまうんですよね。毎日のみんなのやりとりの中で、クスッとできる瞬間があれば、心がすれ違うことなく過ごせると思っています」
さらに、時には人手を借りることも円滑なコミュニケーションに大切と考えている。
「以前からデイサービスを利用していましたが、今年に入ってからは週に2回、入浴補助のサービスを利用しています。入浴補助をしていただくと私たち夫婦も楽ですし、義母も看護師さんといろいろとおしゃべりをするのを楽しみにしているようです」
もののはずみさんにとって、義母の姿は“未来の自分”なのだという。
「71歳の今は元気に動けていますが、年を重ねると義母のようになっていくのだろうなぁと思います。自分がいつかは通る道だと考えれば、その背中を見せてもらっているようで、ストレスもさほどたまらないんですよね」
それでも心がモヤモヤした時には独自の方法でリフレッシュを図る。
「30分くらい自転車をこいで、電車で2駅くらい離れた町に行って、食品や生活用品などちょっとした買い物をするんです。
無心で自転車をこいでいると、けっこうスッキリするんですよ(笑)。“できることをできる範囲で”をこの年代になってから意識しています」