ところが、「角質を取ってしまうことが、そもそも大間違い」と北條先生は指摘する。
角質層が肌をあらゆる刺激や雑菌から守る貴重なバリアに
「皮膚は1か月ほどで生まれ変わる、いわゆる『ターンオーバー』を繰り返しています。皮膚の深部『基底層』で作られた細胞は、有棘層や顆粒層で細胞分裂を繰り返し、上へ上へと上がっていきます。最終段階で皮膚の表面で一生を終え、『角質層』を作ります。この死んだ細胞で形成された角質層が、実は肌をあらゆる刺激や雑菌から守る貴重なバリアになっているのです」(上図参照)
ではピーリングでバリアとなっている角質を無理に剥がしてしまうと?
「適度なバリアがあれば問題ないはずの化粧品や薬品の刺激でかぶれたり、接触性皮膚炎を起こしたり、乾燥しやすくなるなどさまざまな肌トラブルを招きやすくなります」
北條先生が自らの腕で行った実験動画では、ピーリングジェルを使用した後に、皮膚のバリア機能が正常な時には炎症を起こさないはずの「麻酔クリーム」を塗ったところ、ピーリングをした箇所だけが赤くなっていた。
「確かに、ピーリングで小鼻のブラックスポットが消えたり、触ると肌がつるつるになったと感じるかもしれません。でもそれはバリアが破壊されただけ。目には見えなくても、肌がむき出しの無防備な状態になっているのです」
美肌のためと角質を剥がしても、それが原因で肌荒れを起こし、さらにピーリングを重ねるという悪循環に陥る心配があるという。
「そもそも不要な角質は、自然なターンオーバーによって剥がれていくもの。ムリに剥がす必要は全くありません」
また、フェイスブラシを使った洗顔もNG。
「フェイスブラシで毛穴を洗浄するといった、ごしごしと肌をこするようなケアも、確実に角質を傷めます。絶対にやめていただきたいですね。肌にピリピリするような感覚があったら、それは刺激が強すぎる証拠。すぐに使用を中止してください」