日本でもかかりつけ医を
「医師の長時間労働が規制されたとしても、長時間労働を生んでいる構造的な問題が解消しない限り、根本的な解決にはなりません。諸外国ではチーム医療が進み、職種間での役割分担が行われています。ワクチンは薬局で受けられ、看護師ができる処置も幅広く、医師の業務負担は日本よりはるかに少ないです」
また、イギリスなどでは厳密なかかりつけ医の制度があり、不調の際にかかる医療機関が決まっているという。日本のように、のどが痛ければ耳鼻咽喉科に、発疹ができれば皮膚科になど、自分で病院を選択するのではなく、どんな不調でもまずは登録しているかかりつけ医のところに行くのだ。
「日本でもイギリスのようなかかりつけ医を持つことで、自分の不調に敏感になり、大きな病気になる前に余裕を持って早めの受診を心がけることが今後、より求められると思います」
しばらくは続くと見られる医師不足。自分たちにできることをやって乗り切りたい。
教えてくれたのは室井一辰さん
医療経済ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程卒。著書に『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社)など。
<取材・文/難波安衣子>