老眼では眼科に行く必要はない

 60代になるとほとんどの人が老眼を自覚している。ただし、見えにくさの原因が目の病気の可能性も。

緑内障や加齢黄斑変性は、重症化すると失明につながります。これらの病気の初期は症状が乏しいので、疲れ目と勘違いすることも少なくありません。治療のためには早期発見が重要。目の違和感を老眼と片づけず、すぐ眼科を受診するようにしてください」

膝が痛いときは歩かない

 60代が抱える疾患で多いのが、変形性膝関節症。

「膝が痛いと、運動はせず安静にしていたほうが良いと思いがちですが、膝の負担をカバーする筋力が低下すると関節の動きが悪くなるため痛みが悪化することも。

 ウォーキングなど、適度な運動療法をしたほうが回復につながります。可動域を広げるストレッチも効果的。ただし、強い痛みがある場合は、すぐに整形外科を受診すること」

食べたらすぐ横になり消化を促進

 食後すぐ横になると、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなり、食道粘膜に炎症が起きる危険性があると藤原先生。

「誤飲したことに気づかず気管に入ってしまう不顕性誤嚥のリスクもあります。胃の内容物が落ち着くまで、最低でも90分は横にならないようにしましょう。椅子に座って上半身は起こし、ゆったりした状態でいることが消化にはいいです」

60代からの社会参加が健康寿命に関わる
 社会との関わりが希薄になると、うつや認知症を招きやすくなる。60歳をすぎたら積極的に社会参加を。
「仕事に加えて、地域行事に参加したり、新しいコミュニティーに入りましょう。外的刺激を取り入れることでフレイル(健康と要介護の間の虚弱な状態)を遠ざけます」

藤原佳典先生●東京都健康長寿医療センター研究所副所長。高齢者のボランティア活動や就労を通した健康づくり、フレイル予防に関する研究が専門。著書に『60歳からはこれをやめてこれをやる!』(新星出版社)など。
藤原佳典先生●東京都健康長寿医療センター研究所副所長。高齢者のボランティア活動や就労を通した健康づくり、フレイル予防に関する研究が専門。著書に『60歳からはこれをやめてこれをやる!』(新星出版社)など。
教えてくれたのは……藤原佳典先生●東京都健康長寿医療センター研究所 副所長。高齢者のボランティア活動や就労を通した健康づくり、フレイル予防に関する研究が専門。著書に『60歳からはこれをやめてこれをやる!』(新星出版社)など。

取材・文/中村未来