目次
Page 1
ー 若いのに骨があちこち曲がって
Page 2
ー 栄養素の偏った食事で病気に
Page 3
ー この子は最期に苦しみましたか?
Page 4
ー ネグレクトという1つの虐待

 

 みなさんは「獣医病理医」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか。

 獣医病理医の中村進一さんが専門にしているのは、動物の体から採ってきた細胞や組織を調べて、「病(やまい)」の「理(ことわり)」を究明すること。要は「なぜ病気になったのか、どうやって死んだのか」を調べることを生業としています。

 そんな中村さんの著書『死んだ動物の体の中で起こっていたこと』(ブックマン社)から、動物の生と死をめぐるエピソードを3回に渡って紹介します。

若いのに骨があちこち曲がって

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 生後4カ月のビーグルの病理解剖を依頼されました。大きなたれ耳が特徴的な比較的小型の猟で、スヌーピーのモデルとしても有名な種です。

 遺体を持って来られた飼い主さんは、「まだ若いのに骨があちこち曲がってたんだよね。足もひきずっていてさ。先天異常だったと思うんだけど……」と言います。