今の自分に必要か、定期的に問いかける

「“あって当たり前”という考えをやめて、生活する中で今の自分にとって本当に必要か定期的に持ち物を見直しています。自分も日々、変わっていきますし、50代と60代とでは必要なものも変わってくるんです」

 値段や思い出に執着して、着ないのにとっておいた洋服類も潔く処分。

「デザインが気に入っていても、重かったり肩がこったりして着心地の悪いものは手放しました。洗濯機でガンガン洗えることも大事なので、クリーニングや手洗いが必要なものはそもそも選ばなくなりました。着ないのにとっておくことは、スペースの無駄にもなります」

 “服を1年間買わないチャレンジ”をしたことも。

「それが、なにも困らなかったんです(笑)。むしろ、よく着る服と着ない服とが明確になって、着ない服を処分するきっかけになりました」

 とはいえ、ミニマリストを目指しているわけではないので“最小限”にこだわらず、自分にとって心地いいおしゃれを楽しみたいと語る。

嫁入り道具のひとつで背の高かった食器棚の上段部分はダイニングに(写真右)。器の数も減らしたが、以前は取り出しにくかった食器もラクに出せるようになった
嫁入り道具のひとつで背の高かった食器棚の上段部分はダイニングに(写真右)。器の数も減らしたが、以前は取り出しにくかった食器もラクに出せるようになった
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 自宅の整理を進めるかたわら、今は介護施設に入居する父親の家も片づけた。

「まず、モノの多さに驚きました。ただ、親世代はモノを捨てることに抵抗があるでしょうし、モノが多いのは仕方ないので、無理に減らす必要はないと思っています。だから消費期限の切れた食品や薬、欠けた茶碗や用途の同じ鍋など、とっておくと危ないものや明らかに使わないものは処分しました」

 いちばん大変だったのは、着道楽な父が集めた大量の洋服。本人に聞きながら好きな服だけ数十点残したところ、着たい服がすぐに見つかり、コーディネートがしやすくなったと喜んでいる。

 実家の片づけで、「子どもたちになるべく負担をかけないように、体力のあるうちに片づける」という老前整理の重要性を改めて意識したという。